[其ノ二 FX 投資戦略編]豪ドル/米ドルの売り 米景気回復、中国停滞で豪ドルは軟化へ
米国が量的緩和縮小へ動き、円安・ドル高に進んだが、人気通貨の豪ドルにはブレーキがかかっている!?

豪ドル安を維持したいRBA。米国との景気と金利差縮小も売り材料に

豪ドルは、世界的な新興市場売りのあおりを受けて昨年8月に対米ドルで0・8848ドルの安値をつけた後、10月には0・9758ドルまで10%反発して戻り高値をつけました。しかし、その後再び下落基調となり、年初来安値を更新。今年も豪ドルを取り巻く環境は悪く、続落する可能性が高いでしょう。

中国景気は後退しないにせよ加速する可能性は低く、輸出やインフラ整備投資主導の投資から消費主導の成長への転換を図りつつあることから、鉄鉱石や石炭を主力商品とする豪州は中国の恩恵を受けにくくなっていくとみられます。

豪州景気も年後半からの資源関連投資の減少見通しを背景に成長率は鈍化に向かう一方、米国は量的緩和縮小を進められるだけの力強さを増してきており、豪州の成長率にキャッチアップしていきます。

これらの動きは、鉄鉱石や石炭の価格が上昇しにくいこと、および豪米金利差が米国に有利な方向に縮小していく可能性が高いことを意味し、豪ドル安要因となります。

こうした中、豪州の中央銀行であるRBA(豪州準備銀行)は、住宅市場をさらに過熱化させるリスクがある追加利下げはなるべく回避したいことから、豪ドル安誘導発言を繰り返し行なうことで景気を下支えようという意図を露骨に見せています。

特に、RBA総裁が豪ドル/米ドル相場は0・85ドル近辺が妥当だと発言するなど、政策当局としては禁句とされる特定水準にまで言及しています。現在のところ市場参加者もRBAの口先介入に追随して豪ドル売りを行なっていることから、豪ドルの下落を後押しするでしょう。

口先介入は、実弾による豪ドル売り介入や利下げを伴わないと爐おかみ少年〞になるため、効果が薄れてくる可能性が高いといえます。RBAは実弾介入を時折しますが小規模で、日本のような大規模介入は望むべくもありません。

とはいえ、口先介入がなくとも、加速の見込めない中国景気、豪州に対する米国経済の回復などの経済的な要因だけでも、豪ドルが対米ドルで下落するには十分でしょう。

2月のFX天下分け目スケジュール

1位 4日(火)豪州・RBA 金融政策決定
為替への影響:円高

2位 1日(土)中国・1月の製造業PMI(購買担当者景気指数)
為替への影響:円高

3位 12日(水)英国・BOE(英国中央銀行)四半期インフレ報告
為替への影響:円安

4位 19日(水)英国・12 月の失業率
為替への影響:円安

5位 7日(金)米国・1月の雇用統計
為替への影響:円安

6位 7日(金)米国・連邦債務上限の引き上げ期限
為替への影響:円高

7位 28日(金)日本・1月全国コアCP(I 消費者物価指数)
為替への影響:円安

8位 6日(木)ユーロ圏・ECB(欧州中央銀行)金融政策決定
為替への影響:円安

9位 14日(金)ユーロ圏・第4四半期GDP
為替への影響:円安

10位 22日(土)G20(20カ国・地域)財務相・中銀総裁会合
為替への影響:円高

※上記スケジュールは予定で、変更になる場合があります。

一刀両断!2月の為替レンジ

米ドル/円
レンジ:102〜107円
トレンド:円安
現在地:104.5円

ユーロ/円
レンジ:135〜145円
トレンド:横ばい
現在地:142.3円

豪ドル/円
レンジ:89〜95円
トレンド:円高
現在地:93.3円

NZドル/円
レンジ:82〜88円
トレンド:円高
現在地:86.6円

英ポンド/円
レンジ:168〜178円
トレンド:円安
現在地:171.5円

南アランド/円
レンジ:9.5〜10.4円
トレンド:中立
現在地:9.8円

※現在値は2014年1月7日現在。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
プレビデンティア・ストラテジー 外為ストラテジスト

日本銀行で10年間、外為取引や調査に従事した後、RBS、バークレイズなどでチーフFXストラテジストを務め、2013年8月、外為市場調査を行なうプレビデンティア・ストラテジー設立。デイリーとウィークリーで外為戦略レポートを執筆、配信している。http://praevidentia.com



この記事は「WEBネットマネー2014年3月号」に掲載されたものです。