名作の“幻の22分”に吹替補完、23年の時を超え同じ声優が追加収録。

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WOWOWは2月15日19時45分から、WOWOWプライム土曜吹替劇場で、パニック映画の金字塔「ポセイドン・アドベンチャー」を放送する。1972年に製作された本作は、1991年2月17日に「日曜洋画劇場」(テレビ朝日系)で放送された際に日本語吹替版が用意されたが、放送時間の都合で22分がカットされ、その部分の吹替は行われなかった。今回はこれまで吹替されたことのなかった幻の22分を“補完”する形で追加収録を行い、本来の尺で日本語吹替版を放送する。

もともとの上映時間が117分の本作は、「日曜洋画劇場」では95分で放送された。当時はソフト化なども視野に入っていなかったため、カットされた22分の吹替は行われず、また、後にDVD化されたときにはこの1991年放送版の日本語吹替音声が収録されていたが、やはりカットされた部分の追加収録はせず、その箇所を英語音声に切り替えることで対応していた。「ポセイドン・アドベンチャー」を完全な形で、吹替で楽しむことは不可能だったわけだ。

そこで今回は吹替“補完”版として、カットされた22分の吹替を新たに追加収録。できる限り当時参加した声優に同じ役柄の声を補完してもらい、すでに他界している声優に関しては代役を起用し、なるべく故人の声質に近づけて演じてもらうことで、117分のノーカット吹替版を完成させた。この映画の吹替版がノーカットでテレビ放送されるのは初めてのことだ。

演出を務めた福永莞爾氏は、収録を終えて「やはりみんな20数年間元気でいたからこそ、この企画ができたんです」と切り出すと、声優の野沢雅子も「この企画がやれて、わたしはうれしいですよ。お話があったときはやります! と即答しました」と笑顔。

続けて福永氏が「意外に分からないものですね。そんなに声って変わるもんじゃないなと思いました」と感心する通り、およそ23年前の声と、今回新たに収録した声が一つの作品として、上手い具合になじんだという。「収録を始めると甦ってくるんですよ。あのときはああいう風にやったな、というのが、ちょっとしたシーンを見るだけで甦ってくるんです。面白いもんですよ」と付け加える声優・磯部勉の言葉に、野沢も「本当にそうですよね」とうなずいた。

117分の作品をテレビ放送向けに約95分に再編集した1991年当時を振り返り、「内容を損なわずに、いかにカットするかが僕にとっては命でしたね」と述懐する福永氏。「今回、この素材を改めて観て思い出したんですが、とにかく細かくカットをしているんですよ。セリフも細かく切ってしまったし、動きも細かく切りました。特に後半はセリフがないくらいのアクションになっていくから、後ろの方はそのままの状態でも観ていられると思って、まずはとにかく前半の方を細かく切っていったんです。でも本当は後半の方にも切りたいシーンがあったんですけど、前の方をあまりにも細かく切り続けていたら、後半部分を切る前に尺が足りちゃった(笑)。だからと言ってまた最初からやり直すのも大変だから、そのままにしたんですよ」と今だから言える意外な事実を明かした。

日本では、オリジナル言語の字幕版に敬意を払う人が多いが、その一方で、日本語吹替版に強い思い入れを抱く人も多い。

そんな吹替の魅力について「日本語版のほうがしっくりくるという人も多いですよね。わたしは英語がダメな人ですから、細かいところまで意味が分かるというのがいいですよね」とコメントする野沢。それを踏まえて「お客さんには、オリジナル版よりも日本語吹替えのほうが素晴らしかったねと言ってもらえるようにやりたいなと、いつも考えています」と決意を語る磯部に、「吹替のほうが良かったと言われるのは役者としての醍醐味ですね」と賛同する野沢だった。

1972年に製作された「ポセイドン・アドベンチャー」は、1970年代にパニック映画ブームを起こした大ヒット作。海底地震による大津波の影響で、豪華客船ポセイドン号は瞬く間に転覆する……そんな大がかりなアイディアを壮大なスケールで映像化している。勇気ある牧師役のジーン・ハックマンはじめ豪華キャスト陣が好演。2006年には「ポセイドン」としてリメイクもされた。