富士通、ARROWSシリーズなどの携帯電話の在庫を廃却していたことが明らかに!開発・生産拠点統合で年間350億円超の赤字を健全化へ

最近のARROWSは良くなってきてるんですけどね……。

富士通が2014年3月期(2013年度)第3四半期(2013年10〜12月)の決算説明会を開催し、同社が「ARROWSシリーズ」や「らくらくホンシリーズ」などで展開する携帯電話事業では第3四半期は上期(2013年4〜9月)と比較しておすすめ機種に選定されたこともあり、増収になったものの計画よりも低く、出荷台数で50万台下方修正し、2013年度通期予想も370万台と前年度比約4割減であることを明らかにしました。

携帯電話事業の業績では第3四半期だけで90億円の赤字で、2013年度通期も150億円の下方修正で350億円超えの赤字になると予想。

こういったことから品質コストと在庫の評価損という異常コストの計上があり、健全化するために携帯電話を廃却を行ったとしています。さらに、第4四半期にも品質コスト問題は続くことから廃却などをもう1段進める必要があるかもしれないと予測しています。

一方、その後はスマートフォン(スマホ)およびケータイ(フィーチャーフォン)の製造・品質保証および修理を担う国内2拠点(富士通モバイルフォンプロダクツと富士通周辺機を2014年4月1日をめどに統合し、量産製造機能を富士通周辺機に集約することで品質コストを削減することで黒字化する計画であるということです。

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富士通CFO加藤氏


決算説明会に登壇した同社取締役執行役員専務CFOの加藤和彦氏は携帯電話事業について「まだ止血しきれていなかった。」として、第3四半期も90億円の赤字になり、2013年度通期で年度当初の計画から150億円の下方修正を行い、およそ350億円の赤字になることを説明しました。

原因としてはスマホの販売台数の減少とケータイの市場縮小で、特にARROWSシリーズの不具合などによって「一昨年から続く品質問題で市場の
信頼を失ったのは事実。」と認めるような状況があったことに加え、主要提供先であるNTTドコモが2013年夏モデルでおすすめ機種戦略を打ち出し、それに同社の機種が選ばれず、さらに2013年冬モデルではおすすめ機種に選ばれたものの、その頃にはNTTドコモがiPhoneを販売していたといったことが大きいと見られます。

同社では「昨夏から出した製品はようやく他社並みの品質になり、ようやく競争できるようになってきました。」としながらも、当初計画よりも下回っており、第3四半期で2013年度当初予想よりも50万台下方修正し、年間370万台と予想。昨年度実績が650万台であることからおよそ4割減となります。

来期からは携帯電話開発・製造拠点を統合し、品質コストを削減する計画で、評価損や廃却といった以上コストを除けば、業績でおよそ4割減となり、拠点統合で設備・コストを4割削減できれば黒字化する予定だとしています。

また、同社ではこれまで出荷台数を追っていたことで過剰なスペックなどとなってしまっていた製品を反省し、今後は「らくらくシリーズのような多くの人に利用されており、これは製品がシンプルであることが評価されたもの。改めてこのシンプルさを追求することで、今一度市場の中でポジションが取れると考えている。」として、ハイエンドよりもこういったシンプルで使いやすい製品を重視していくことを示唆しています。

記事執筆:memn0ck


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