[其ノ二 FX プロディーラーの視点!]進化した個人、慎重になったプロ
2013年は株高・円安の犂心遒裡映〞に。苦難の時代を経てトレード上手になった個人投資家に比べ、影の薄かった日本の機関投資家の動向に注目!

リーマン・ショックから5年…。個人投資家のトレード技術が激変!

2014年も始まったばかり。振り返ると、2008年のリーマン・ショック以来、日本は4年以上も苦難の株安・円高時代を過ごしてきました。

それが昨年ようやく大転換して、株価はここ5年間の欧米の上昇率と肩を並べるまでに回復しました。為替市場でも非常にわかりやすい円安トレンドが進行し(下の図を参照)、個人投資家の多くが高いパフォーマンスを残すことができたと思います。

リーマン・ショックから5年間の苦闘を経て、個人投資家の投資スタイルも格段の進化を遂げました。

一番の変化は、大きな損失を抱えたままポジションを塩漬けにしてしまう傾向が少なくなったこと。そして、スキャルピングとまではいかないものの「ヒット&アウェー」で短期売買に徹する姿勢が鮮明になったことの2点です。機敏な売買やリスク管理に対する考え方は格段に進歩したように思えます。

外貨の買い一辺倒ではなく、純粋な売りも増えました。たとえばドル/円が1ドル=100円を突破して急上昇するような局面では、利益確定の売りだけでなく、新規の米ドルの取引が増え、買いと売りの比率が3対2近くに達することもしばしばです。

依然、「逆張り志向」が根強い中、90円台後半から100円台前半でドル/円がもみ合う中では、「下がったら買い、上がったら売る」逆張りが有効に機能しました。「うまくなったな〜」というのが個人投資家のトレード実績に対する素直な印象です。

今後は、かつてのように高金利通貨を長期保有してスワップポイントを取りにいく投資スタイルも復活してくるでしょう。

リスク管理という面では、南アフリカランドやトルコリラといったエマージング通貨には手を出さず、豪ドル、NZドルなどオセアニア通貨で高金利を得たいところです。

外国人に翻弄され臆病になってしまった日本の機関投資家

格段の進化を遂げた個人投資家に比べ「ふがいない」と言わざるをえないのが日本の機関投資家および法人サイドです。

2013年、円安が進み、誰がどう見ても米ドルはボトムを打った感が強かったのに、機関投資家が大量の米ドル買いに走ったとか、輸入企業が新たな長期為替予約を行なった、といった話は聞きませんでした。彼らは昨年、目の前の円安相場をただ見ているだけだったという印象を受けます。

正直、1年で1ドル=70円台から105円まで大きく円安が進んでいるのに、「何もしてこなかった」では許されません。プロ失格と言われかねません。

ここ数年、株にしても為替にしても相場を席巻してきたのは外国人投資家。日本の個人投資家もプロも、外国人投資家の動きに翻弄、かく乱されてきたわけですが、そうした中で個人投資家はより賢く機敏に立ち回れるようになりました。そういう意味では、臆病になりすぎた日本の機関投資家および法人サイドにも奮起を促したいところ。

とはいえ、牋貳嵳竸歓爾た祐屬参加したときが相場の終わり〞という教えもあるので、注意は必要ですが……。

【今月のカリスマ軍師】
上田眞理人(MARITO UEDA)
FXプライム 取締役

東京銀行、モルガン銀行、ドレスナー銀行などで為替ディーラーや外国為替部長を歴任後、現職。



この記事は「WEBネットマネー2014年3月号」に掲載されたものです。