【佐古賢一のカットインNBA】

 今年のNBAオールスターゲームは2月16日(日本時間2月17日)、ルイジアナ州ニューオリンズのニューオリンズ・アリーナで行なわれる。過去5年間の対戦成績を振り返ると、イースタンの1勝4敗。現在、ウェスタンが3連勝中だ。はたして今年は、どちらのチームに軍配が上がるのか。そして、栄えあるオールスターMVPを獲得するのは誰なのか――。2014年のオールスターゲームの見どころを、「ミスター・バスケットボール」こと佐古賢一氏に聞いた。

【NBAオールスターゲーム2014 スターター】
[イースタン]
G ドウェイン・ウェイド(マイアミ・ヒート/10回目/92万9542票)
G カイリー・アービング(クリーブランド・キャバリアーズ/2回目/86万221票)
F レブロン・ジェームズ(マイアミ・ヒート/10回目/141万6419票)
F/G ポール・ジョージ(インディアナ・ペイサーズ/2回目/121万1318票)
F カーメロ・アンソニー(ニューヨーク・ニックス/7回目/93万5702票)

[ウェスタン]
G ステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ/1回目/104万7281票)
G コービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ/16回目/98万8884票)
F ケビン・デュラント(オクラホマシティ・サンダー/5回目/139万6294票)
F ブレイク・グリフィン(ロサンゼルス・クリッパーズ/4回目/68万8466票)
F ケビン・ラブ(ミネソタ・ティンバーウルブズ/3回目/66万1246票)

※ポジションの略称(G=ガード、F=フォワード、C=センター)
※カッコ内は(チーム名/オールスター選出回数/ファン投票結果)

 今年も東西から錚々(そうそう)たるプレイヤーがスターターに名を連ねました。注目の選手は、「もちろん全員(笑)」なんですけど、その中でもレブロン・ジェームズとケビン・デュラントのマッチアップは見逃せないでしょうね。ふたりとも本気でオールスターMVPを狙ってくるので(レブロンは2006年と2008年、デュラントは2012年に受賞)、お互いが意識しあってマッチアップしているシーンは、とても面白いと思います。

 得点源となる「攻撃時のファーストオプション」という面から考えると、ウェスタンはデュラントで決まりだと思うんです。ウェスタンを率いるヘッドコーチ(HC)はオクラホマシティ・サンダーのスコット・ブルックスなので、デュラントにボールを集めてゴールを奪いに行くでしょう。そうしてデュラントの得点数が増えていけば、オールスターMVPもグッと近づいてきます。

 逆に興味深いのは、イースタンですね。本来ならレブロンを攻撃時のファーストオプションにするでしょうが、イースタンを率いるのはインディアナ・ペイサーズのフランク・ボーゲルHC。ペイサーズのポール・ジョージがスターターとして出場するので、すんなりとレブロンにボールを集めるシフトにするのかどうか......。また、昨年得点王のカーメロ・アンソニーもボールを欲しがるでしょうから、誰をファーストオプションにして戦っていくのか、フォーメーションを考えるだけでも大変そうですね(笑)。

 そう考えると、ウェスタンのほうがメンバー的に安定しているかもしれません。なにより、ケビン・ラブがスターターに選ばれています。ラブという選手はリーグ屈指のハードワーカーで、パワーフォワードでありながら、アウトサイドからのシュートもうまい。ドワイト・ハワード(ヒューストン・ロケッツ)のような派手さのあるビッグマンではないですが、チームを作る上で欠かせない選手です。バスケットボールプレイヤーとして、ラブは非常に頭の良い選手だと思います。チームメイトとのバランスをうまくとりながら、リバウンドやロングショットという武器でゲームをコントロールすることもできる素晴らしい4番プレイヤーですね。勝利のカギを握っているのは、ウェスタンのラブではないかと思っています。スター揃いのオールスターでどんな動きをするのか、ラブのプレイもぜひ注目してください。

 あと、個人的に注目しているのは、オールスター初選出のステフィン・カリーですね。初めてのオールスターで自分の持ち味を発揮できるかどうか、その点を見てみたい。ポイントガードはオールスターでMVPを獲るのが難しいポジション。なぜならば、オールスターはタレント揃いなので、自ら得点を奪うことより、彼らの良い面を引き出す役割が増えるからです。ただ、カリーの武器は3ポイントシュート。本心では、3ポイントを積極的に狙っていきたいでしょう。初めてのオールスターで、どこまで己を出すことができるのか......。カリーには遠慮しないでプレイしてほしいですね。

 今年初めてオールスターに選ばれた選手は、リザーブも含めて5名います。イースタンでは前出のカリーと、ダミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ/G)の2名、ウェスタンではジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ/G)、デマー・デローザン(トロント・ラプターズ/G)、ポール・ミルサップ(アトランタ・ホークス/F)の3名です。オールスターという大舞台でプレイすれば、彼らにとって大きな自信になると思いますよ。スター選手と同じコートに立ち、時には指示を与えてゲームを組み立てるという経験は、非常に価値あるものとなるでしょう。そういう経験が、リーダーシップを育(はぐく)むのです。僕は「リーダーシップのある選手=良い選手」と思っているので、オールスター後の彼らの成長にもぜひ注目したい。

 今シーズン、ワシントン・ウィザーズを牽引しているポイントガードのジョン・ウォールは、オールスター後に大化けするかもしれませんよ。「好き勝手にプレイしている」という批判も少なくありませんが、彼がNBAで結果を残しているのは事実です。オールスターを経験し、メンタル面での成長が加味されれば、ブレイクする可能性は十分にあります。ぜひともオールスターでは、ウォールに多くのチャンスを与えてほしいですね。

 今回のオールスターゲームは、例年以上にアップテンポな展開になるような気がします。もともと、オールスターはアップテンポになりがちですが、今年はセンターがスターターに選ばれなかったので、よりシュートを打つタイミングが早くなるのではないでしょうか。これだけ攻撃的なガードとフォワードがコートに出るとなれば、もしかしたら記録的なスコアになるかもしれません。

 もし、僕が選手としてどちらかのチームでプレイできるのなら、イースタンでやってみたいですね。ポール・ジョージやレブロン・ジェームズに指示を出して動かしてみたい(笑)。一方、ヘッドコーチという立場でオールスターに臨むなら、ウェスタンですかね。先ほども言ったように、僕はラブみたいな選手が好きなんです。基本に忠実で、自分の能力を分かっている頭の良いプレイヤーがいれば、ゲームを作る上でとても心強い。逆にイースタンは、みんなボールを欲しがるので、気を遣いそうで......(笑)。そんな想像が膨らむほど、今年のオールスターは見どころ満載。学生時代から欠かさずNBAオールスターを見ていますが、今年は現地ニューオリンズまで見に行くので、どんなゲームになるのかとても楽しみです。

取材協力:WOWOW

佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi