[其ノ一 株ファンダ編]「投信の買い」が本格化。年初は正攻法で行こう!
日経平均が1200円上がった期間、0・3%しか伸びなかったトヨタ自動車。この現象は狎畧〞によるものと思われるが、それが大きな巻き戻しにつながるのだ。

投信の売越額が1週間で1649億円!優遇税率のうちに利確?

2013年11月の日本株高はスッキリしないものでした。1カ月で日経平均は1200円強の上昇、外国人投資家は月間で約2・3兆円の大幅な買い越し、と文句なしのリスクオンなのですが、「日経平均が買われているだけ」という意見も多かったですね。NT倍率(日経平均株価をTOPIX〈東証株価指数〉で割って算出。10倍前後が標準)は12・5倍に迫る勢いで上昇し(12月19日には14年8ヵ月ぶりに12・55倍となった)、日本株全体にバスケット買いが来た、というより狷経平均先物〞に買いが来た側面が大きいようです。

このとき連日聞こえてきたのが「日経平均は強いけどトヨタ自動車が全然ダメだね」という声です。業績好調、日本の最優良株のはずのトヨタ自動車が、株価指数大幅高の11月にわずか20円高(0・3%高)でした。為替も対ドルで4円ほど円安に振れていたのに、です。

NISA開始で上値の重かった優良株の逆襲が!

その理由として需給から考えられるのは、投資信託経由の資金流出です。衝撃的なのは、11月第4週の投信の売り越し。1週間で売越額が1649億円に上ったのです。

投信の日本株の売越額は「購入」から「解約」を差し引いて算出します。基本的に売買頻度が多くない投信が1週間で1000億円以上もの金額を売り越したのは、2007年6月第1週以来というとても珍しい現象でした。

なぜ、こんな大規模な解約が起こったのでしょうか。おそらく証券優遇税制の廃止によるものだと思われます。優遇税率のうちに利益を確定する動きが加速したということです。

投資家から投信の解約通知が来ると、運用会社はポートフォリオの銘柄を売る必要性に迫られることが往々にしてあります。その結果、投信に組み入れられている優良株ほど上がらない(上がりにくい)という現象が起こりました。その象徴例が前述のトヨタ自動車なのです。

運用資産が大きい日本株の公募追加型投信のほとんどの保有銘柄の上位にトヨタ自動車が入っています。メガバンクの三井住友フィナンシャルグループも常連の銘柄といえますね。

中小型株の中で優良とされるコシダカホールディングス、MonotaROなどが、理由なく下落していたのも特徴的でした。

2013年末にかけて解約売りがかなり出た理由が狎畧〞によるものであるとすれば、NISA(少額投資非課税制度)開始に向けた投資家からの待機資金がかなり貯まっているという推測もできます。

実際、2013年12月に設定された某大型日本株投信に当初はたった54億円しか集まらないという現象がおこるなど、「今は買うのを控えよう」というムードが全国的に広がりました。

このロジックでいくと、NISAスタート以降、昨年末に生じた現象の巻き戻しが起こるかもしれません。株価指数高の局面で上値が重くなっていた優良大型株や、目立って売られた優良中小型株が、新規マネーの流入で反転する展開です。

NISA本格化とともに投信が買いそうな王道株5

日本電産(東1・6594)
株価(売買単位):1万470円(100株)

投信経由の売りが目立った2013年11月第4週に株価はピークアウト。株価1万円の大台乗せは今年に持ち越し。

大和工業(東1・5444)
株価(売買単位):3370円(100株)

2013年12月初旬にフィデリティ投信の保有割合が大幅減少。PBR 1倍割れ水準からの仕切り直しに注目!

MonotaRO(東1・3064)
株価(売買単位):2071円(100株)

2013年5月の高値から年末にかけて4割強のスピード調整。来期に期待する買いが再度強まりそうだ。

コシダカ(JQ・2157)
株価(売買単位):2940円(100株)

2013年5月高値から4割強の調整で、予想PERは10倍まで低下。好業績の中小型株として割安感は強い。

N・フィールド(東マ・6077)
株価(売買単位):1万640円(100株)

2013年の新規公開株ナンバーワンとの呼び声も高かったが、昨年11月に急失速。ファンド勢の買い直しに期待。

※株価は2014年1月8日現在。PER=株価収益率。JQ=ジャスダック、東マ=東証マザーズ。

【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターもこなす。



この記事は「WEBネットマネー2014年3月号」に掲載されたものです。