トヨタはじめ輸出大企業のボーナス大盤振る舞いで賃上げが騒がれた昨年も、実は、賃下げが進んでいた。

 安倍政権は昨年の春闘で首相の要請に従って賃上げを決めた企業名を官邸のホームページに掲載して表彰するなど、政権とメディアをあげた「賃上げ祭り」でアベノミクス効果を宣伝した。

 ところが、厚生労働省が2月5日に発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、昨年(2013年)の残業代やボーナスを含めた全国の事業所の従業員1人当たり現金給与総額(月平均)は31万4150円で、前年比で横ばい。物価上昇の影響を加味した実質賃金指数は0.5%のマイナスであり、賃上げが大ウソだったことが明らかになった。

 大手自動車メーカーの30代中堅社員が語る。

「うちの労組も今年は5年ぶりに月給の1%のベアを要求するが、円安で潤った業績から見ると雀の涙。せめて増税分の3%は上げてもらわないと、実質給料目減りでは、安倍さんのいうように賃上げ分が消費に回って景気が良くなるなんて無理です」

 大手電機メーカーの生産ラインで働く40代社員の表情は複雑だった。

「リストラと減収に耐えてやっと業績が回復したのだから、ベア復活は当然です。もっと出してもいいはずだと思う。ただ、リストラで会社を辞めざるを得なかった同僚たちのことを考えると、それをなかなか口には出しにくいですね」

 それを代弁するのが労組の役割のはずだ。なぜ、労組は消費増税に合わせたもっと大幅なベースアップを要求しなかったのか。

「ベア1%以上」という低い基準を目標にした連合に見解を求めると、「担当者が出張で不在」(総合企画局)を理由に回答を断わってきた。連合の見解は広報担当レベルではなく、会長や事務局長が答えるべきだろう。

※週刊ポスト2014年2月21日号