インド 政権交代期待で相場は堅調。インド版アベノミクスなるか?
総選挙実施までは外国人買いで株価は堅調に推移か

昨年の新興国株市場は、5月下旬に米国でテーパリング(量的金融緩和策の縮小)が話題に上ったのをきっかけに、一気に軟調となる場面がありました。その後の展開ですが、アジア市場に目を向けてみると、下の図のように、台風被害が大きかったフィリピンや、政情不安が高まったタイなどがなかなか立ち直れない状況です。一方で、中国とインドはしっかりといった具合に二極化しています。

とりわけ、インドは12月に入って年初来高値を更新するなど、その堅調さが目立ちました。その背景にあるのは、ちょうど2011年末の日本と同じように、政権交代に対する期待が高まったことです。

この原稿を書いている時点では正式な日程は未定ですが、インドでは2014年の5月ごろまでに総選挙が実施される予定となっています。その前哨戦とされる地方選挙が昨年の11月から12月にかけて行なわれ、最大野党のBJP(インド人民党)が与党の国民会議派の議席を大きく上回りました。経済政策が進まない現政権への批判を裏づけた結果といえます。

今回大躍進したBJPの中心となっているのは、ナレンドラ・モディという人で、長期にわたり、インド北西部にあるグジャラート州の首相を務めています。モディ氏はインフラ整備や行政機構の効率化、外国企業の参入といった規制緩和などの政策を推進した人物で、このグジャラート州をインドでも高い成長へと導きました。汚職が深刻なインドにあって身辺がクリーンとされていることも人気の理由となっているようです。

また、一部の欧米金融機関が、「モディ政権が成立すれば、2014年のインドの株価指数は最大で10%上昇する」と予想するなど、海外からも政権交代への期待が高まっています。

このように、周辺国に比べてインドに資金が集まりやすい状況となっているため、インド株市場は大きな経済の変調がない限り、少なくとも総選挙までは堅調な展開が見込めそうです。

ポイントとなるのは選挙後です。結果次第ではありますが、現状ではBJPが政権を獲得するには、他の政党と連立を組む必要があります。つまり、盤石な政権基盤を確保したうえでなければ、構造改革や財政再建などに着手できそうになく、実行力が課題となりそうなのです。そのため、爛皀妊ノミクス〞の実現には越えなければいけない高いハードルがあるといえます。

土信田雅之(Doshida Masayuki)
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト

新光証券などを経て、2011年10 月より現職。ネット証券随一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。




この記事は「WEBネットマネー2014年3月号」に掲載されたものです。