反逆は許さない、ということか--。
 向こう2年間の大相撲界のかじ取り役を選ぶ選挙が1月31日、両国国技館内で行われ、北の湖理事長に次ぐ協会ナンバー2の事業部長として辣腕を振るっていた現職の九重親方(元横綱・千代の富士)が落選した。定員10人(外部理事を除く)に対して11人が立候補したが、それにしても、史上2位の31回優勝と現役時代の実績は群を抜き、ファンの人気もあった九重親方が、なぜ落選の憂き目をみたのか。

 「一言でいえば、協会内の勢力争いに敗れたということですよ」と協会関係者は明かし、次のように話す。
 「九重親方のトップ狙いの願望は非常に強かった。来年、満60歳の還暦を迎えるのですが、去年、北の湖理事長がやったように、自分も理事長になって赤い綱を締めて両国国技館の土俵の上で土俵入りをするというのが夢で、最近、北の湖理事長に『早く辞めろ』と言わんばかりに反旗を翻す動きが目立っていた。このため、北の湖理事長との関係が急速に冷え、この初場所の後半、病気療養していた北の湖理事長が職務に復帰したときも、九重親方だけはあいさつにもいかなかったそうです」

 もともと九重親方の高圧的で傲慢な態度に反発する親方たちは多く、このことは所属する高砂一門内でも、弟弟子の八角親方(元横綱・北勝海)に次ぐ2番目の候補で基礎票を4票しかもらえなかったことでも分かる。どこかよその一門の票を食わない限り、当選ラインに到達するのは難しい情勢だった。同じように伊勢ケ浜一門から2人目の候補として手を挙げ、票不足に悩んでいた元職の友綱親方(元関脇・魁輝)に、不信感を抱いていた北の湖理事長の属する出羽海一門の余り票が流れ込み、あっさりつぶされてしまったのだ。
 「もう少し言動に気を付けていたら理事長の目もあったのに…。これからは八角親方や貴乃花親方ら若手の時代に移っていくでしょうから、58歳の九重親方にはもう復活の可能性はありませんね」(担当記者)

 急いては事を仕損じる。