宝飾品や高級ブランド品が売れに売れ、長らく低迷していた百貨店の業績が絶好調だという。

 大手百貨店4社(三越伊勢丹、大丸松坂屋、高島屋、そごう・西武)の売上高は今年に入ってからも堅調に推移し、三越伊勢丹に至っては1月の既存店ベースの売上高が、前年同月比で10.5%増と2ケタ増を記録した模様だ。

 日本百貨店協会が全国の店舗で調べた商品別売上高(2013年)を見ても、<美術・宝飾・貴金属>の販売額が前年比15.7%増と大きく伸びている。

 こうしたデータが次々と出てくれば、「株高による資産効果で、オメガやロレックスなどの高級腕時計やティファニーの宝飾品が売れている」(大手百貨店広報)といった景気のいい話も、決してオーバーな消費動向ではないのかもしれない。

 だが、一部の高額消費だけを捉えて百貨店ビジネスが完全復活したと結論づけるのは早計だろう。流通コンサルタントの月泉博氏がいう。

「高級品が売れているといっても、百貨店の売上構成比でみれば5.1%に過ぎませんし、富裕層の多い都心部の店舗だけがアベノミクスの外部要因で潤っているだけです。高級ブランドを地方にも移植してミニ百貨店をつくるビジネスはすでに崩壊しているのです」

 たとえ百貨店が林立する都市部の大型店であっても、JR大阪三越伊勢丹が業績不振に陥って売り場面積を6割縮小すると発表したように、顧客の奪い合いはますます熾烈になっている。

 そうであるならば、地代がかからず競合の少ない地方のほうが富裕層も囲い込みやすいと思うのだが、地方には新たな強敵が存在する。

「地方に住む可処分所得の多い富裕層は、東京や大阪にもしょっちゅう来ているので、わざわざ地元の百貨店で買う必要はありません。その他、大多数のボリューム層は百貨店よりも大型のショッピングモールやアウトレットに行ったほうが、身の回りのものは何でも手軽に揃いますからね。高級ブランドだけを並べた業態では生き残れないのです。

 今後、三越伊勢丹のように従来型ビジネスを貫く百貨店は、地方店舗は順次縮小して都心志向がより強まっていくでしょうね」(前出・月泉氏)

 消費増税後の買い控えも懸念される中、単なる“場所貸し”ビジネスでは限界があると指摘する向きもあるが、月泉氏はその見方には否定的だ。

「百貨店のバイヤーが主導権を握って自主企画売り場を増設する流れがありますが、委託販売でテナントに競わせているからこそ、名だたるブランドもイチ押しの商品を陳列して最高のMD(商品化計画)をしようとする。売り場のテンションを保つという意味では、一概に場所貸しが悪いともいえないのです」

 旺盛な個人消費を冷え込ませないためにも、改めて百貨店の実力が問われる年になりそうだ。