中国では1月30日より深刻な大気汚染に見舞われ、各地でPM2.5の数値が軒並み上昇し、人びとの暮らしにも影響が出ている。中国各都市では大気汚染によって視界500メートル以下となり、上海市内の高速道路では視界不良が原因で交通事故が発生、3名が死亡した。ラジオ・フランス・アンテルナショナル中国語版が報じた。(写真は「CNSPHOTO」提供)

 米国科学アカデミー紀要によれば、中国で発生した大気汚染物質が太平洋を越えて米国西海岸に到達しており、カリフォルニアなどで観測される汚染物質の約4割が中国の工場で排出された汚染物質だという。

 報告によれば、中国が輩出する一酸化炭素の22%および“すす”の17%が中国の輸出製品製造と関係している。 空気中を長時間・長距離にわたって浮遊し続ける“すす”は、発がん性を持つものもあり、人体にとって有害と言える。

 同紀要の著者の1人であるカリフォルニア大学のデービス副教授が「米国は製造業と環境汚染を他国に移転させたものの、その悪影響が自国にふりかかっている」と指摘したことについて、記事は、「中国の環境汚染の一部は欧米の消費者にも責任がある」と論じた。

 記事は、「日本や韓国、米国は自国の汚染工業を中国に移転し、環境保護を無視して生産を行った結果、わが国の生態環境は破壊され、さらに自国も被害を受けている」と主張した。一方で記事は、「中国の問題は政策を監視する組織が存在しないこと」と指摘、中国政府が打ち出した大気汚染防止のための政策は形骸化していると指摘した。(編集担当:村山健二)