「関ジャニ∞大倉くんの美しさを堪能してください」――『100回泣くこと』原作者・中村航インタビュー
 ロングセラーを続ける中村航さんの小説「100回泣くこと」。主演に関ジャニ∞の大倉忠義と、ヒロインに桐谷美玲を迎え、昨年6月に劇場公開された映画版のBlu-ray&DVDが2月5日よりリリース&レンタルスタート。

 原作にはない大胆なアレンジが加えられた映画版。主人公・藤井のバイク事故をプラスし、記憶の一部を失った彼が、自分の彼女だった佳美のことも忘れてしまっているオリジナル設定に。運命の再会により、藤井は再び佳美に惹かれ、佳美は事実を隠したままに藤井とまた付き合い始める。だが幸せのさなか、小説と同様、佳美が病魔に侵されてしまう。

 大きく異なる内容に驚く原作ファンもいたはずですが、原作者・中村航さんは映画化を楽しみにしていたのだそう。そこで、中村さんにお話を伺ってきました。

◆大切な人を失った主人公の自意識を描きたかった

――もともと小説の「100回泣くこと」が生まれたきっかけはなんだったのでしょうか。

中村:最初にあったのはテーマですね。大切な人を失った主人公の自意識を描こうと。それを表現するためには、失う前と失った後を描くことも必要。だから失う前後の100日を書こうと思った。なので最初から100という数字は意識していました。さまざまな過去があって、何かが起きて、いろんなものを乗り越えて、最後に死があるというものは書きたくなかったんですよ。亡くなった後のこともきちんと書きたいと。

――映画化のお話が持ち込まれたときはどんなお気持ちに?

中村:何年も前からお話は何度かあったんです。ただなかなか決まらなかったりして。小説を書くときって10年後の人にも読んでもらいたいとか思いながら書くわけですけど、やっぱりなかなか、そんなに長くは読まれない。幸いなことに、「100回泣くこと」はみなさんに愛されて、書店にも長く置いてもらってます。映画化に長くかかったのも、この小説らしくていいな、と思います。

◆物語はテーマや世界観を運ぶ列車のようなもの

――小説の映画化には、原作を忠実に映像にする作品と、映像作品であることを活かすために脚色を加えるものがあります。本作は後者にあてはまると思うのですが、原作者としての想いを教えてください。

中村:映画は小説のことを原作って呼びますけど、もともと小説を書いているときに、何かの原作を書いているという意識はないんですよ。映像でやったらどうなるかなということも全く考えない。

 映画化っていうと、みんな、おめでとう、って言ってくれるし、僕も、ありがとう、って答える。それはその通りなんだけど、小説にとって映画は、二次創作なんですよね。脚色を加える、というのは、その二次創作の創作の部分だと思うので、頑張ってください、という思いですよね。僕からは、作品の魂みたいなものは大切にしてください、とお願いしたくらいです。

 ただ、制作者の方も小説を愛してくれて、そのうえで創ろうとしてできた映画だと思う。主演の二人も本を熱心に読んでくれて、僕、大倉くんと、小説に出てくるバイクの車種とか揖斐川の話とかもできて嬉しかった(笑)

――確かにキャラクターの空気感や最終的に見えるものに共通の魂は感じますが、原作のファンの方が観る場合に脚色というのは難題です。

中村:それはそうだと思いますよ。本を読んで感動してくれた人であればあるほど、映画などへのハードルって、あがりますよね。僕だってこのテーマを描ききろう、と、二年くらいかけて書いているわけですから。そもそもこの小説は一人称小説で、つまり「僕」が見た世界、「僕」が感じた世界を、描いている。映画だとやはり三人称的になりますし、「僕」が感じた世界というより、「僕」そのものを撮ることになりますよね。