ラグビー・トップリーグ(TL)の年間王者を決めるプレーオフトーナメントが2月1日、東京・秩父宮ラグビー場で開幕する。準決勝では、パナソニック×東芝(1日)、サントリー×神戸製鋼(2日)が激突。2015年ワールドカップ(W杯)に向けた日本代表の強化という視点で勝敗を占ってみる。

「ジャパン・ウェイ(日本らしさ)」を追求するエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が掲げているのが、「世界一のフィットネス」と「アタッキングラグビー」である。ジャパン・ウェイとは、スタイルとしては、シェイプ(連動した陣形)を重ねて相手ディフェンスを崩し、トライを狙う高速展開を指す。

 4チームでそのスタイルに一番近いのは、3連覇を目指すサントリーだろう。そりゃそうだ。ジョーンズHCがサントリー監督時代、「アグレッシブ・アタッキング」を提唱し、2年目の大久保直弥監督がさらに磨きをかけてきた。鍛えこまれたファンダメンタル(基本部分)をベースとし、今季の第2ステージも4強トップの261得点をマークした。

 カギを握るのはブレイクダウン(タックル後のボール処理)、テンポをつくるのはSHフーリー・デュプレア、SO小野晃征のハーフ団である。まずは基本の1対1のフィジカル勝負で神戸製鋼(神鋼)を上回ることができるかどうか。ボールへの「ハングリーさ」は当然として、寄りの速さ、状況判断(見極め)、プレーの精度もポイントとなる。

 地味ながら、百戦錬磨のフランカー、ジョージ・スミスに引っ張られ、フランカーの佐々木隆道が円熟味を増してきた。サントリーは今季、第1ステージ(29−20)、第2ステージ(37―23)と神鋼に連勝している。接点、セットプレー(スクラム&ラインアウト)で負けなければ、ボールポゼッション(保持率)でも優位に立てるだろう。

 上り調子の神鋼としては、相手の連係を崩したい。神鋼の個々の能力は高い。今季SOでもプレーする正面健司の攻撃センスが光る。ブレイクダウンでファイトし、攻撃機会が増えて、リーグ・トライ王のCTBジャック・フーリーの前にスペースが生まれるようだと、勝負の行方はわからなくなる。

 日本代表の基礎的な部分(フィットネス&フィジカル)はある程度作られ、今年は次の段階への強化に移っていく。大舞台で勝敗を決めるのは、相手のミスを突けるか、自分たちの傷口が拡がることを防げるか、である。つまりは、全員の判断の速さ、反応の速さである。

 そういった意味で、日本代表が加えたい形が、パナソニックの「リアクション&カウンターラグビー」であろう。攻守のバランスが取れた『堅守速攻』のスタイル、すなわち「切り返し」である。パナソニックは第2ステージを7戦全勝の首位で突破した。第2ステージの失点(105点)は4強でもっとも少なかった。

 豊富な豪州代表経験を持つSOベリック・バーンズほか、スーパーラグビーでプレーするフッカー堀江翔太とSH田中史朗、さらに中心軸に判断の速さに長(た)けた好選手がならぶ。ターンオーバーから一気に山田章仁、北川智規の両WTBまで回す形はスピードと精度を増している。こういった逆襲を日本代表でも見たいのである。

 パナソニックは今季、第1ステージ(40−22)、第2ステージ(14−12)と東芝に連勝している。ただ、個々のフィジカルが強い東芝に対し、ブレイクダウンでは苦しんだ。ポイントはここの攻防と、パナソニック・田中、東芝・小川高廣の両SHの球さばきである。

 東芝は、SOに故障明けのWTB廣瀬俊朗を起用する。状況判断力と、前に出る推進力を買っての布陣だろうが、チームの士気が高まるのは間違いなかろう。東芝としては、プロップ三上正貴ら日本代表が第一列にならぶスクラムでプレッシャーをかけ、パナソニックのリズムを狂わせたい。

 日本代表のジョーンズHCは、かつてこう言っていた。「日本はポゼッションをベースとし、勇気を持って、他国とは違うジャパン・ウェイを遂行することが必要になってくると思う。もっとフィットネスを上げ、もっと速くプレーすることを増やしていかないといけない。経験値も増やしていきたい」と。

 経験値を増やすためには、高いレベルの試合をするのがイチバンである。だからこそ、TLプレーオフでも内容の濃い、白熱した戦いを期待したい。

松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu