海外で発売された子供向けアプリ「Barbara Plastic Surgery App」が、アメリカ人女性を中心に批判の対象となっています。主に小〜中学生をターゲットにしたこのゲームアプリは、太ったバービーを整形技術によって「美しい身体」に変えるというもの。

このアプリがリリースされたのは2014年1月10日前後。リリースされてすぐにアメリカの女性差別を訴えるグループの目に留まり、現在アプリはiPhone・Android向け、共にストアから削除されています。このアプリを作ったのは、コリーナ・ロドリゲスと名乗る人物。この人物は、今回のアプリ以外にもいくつかの問題視されそうな子供向けアプリをリリースしています。

アプリの説明文が凄すぎる

まず驚いたのはゲームの説明内容。

「太ってしまったバービーはダイエットだけではもうどうにもなりません。このクリニックでは、このかわいそうなバービーを脂肪吸引によってスリムで美しくすることができます。ちょっとだけ気になるところに切り目を入れて、その余分な脂肪を取ってしまいましょう! できますよね? ドクター?」(アプリの説明文より引用)

驚くことに、このアプリの対象年齢は9歳以上。日本では小学校3年生以上が対象ということになります。まだ親の判断が必要な年齢の子供たちに「太っても脂肪吸引で簡単に細く美しくなれる」という概念を植え付けてしまうのはとても危険。無料のアプリなので、子供たちが何も知らずにダウンロードできてしまうのも怖いですよね。

お腹や顔にメス…恐ろしいゲーム内容

太ってしまったバービーは手術台にお腹を出した状態で寝かせられています。子供たちはドクターになって、気になるところにメスを入れ、その脂肪がなくなるまで吸引します。さらには、メスを入れる場所や大きさも変えられ、その精密さには驚愕です。

さらにドクターに扮した子供たちは、お腹だけでなく顔にも施術することが可能。
ふっくらしたバービーの頬を切り取りたければ、メスをいれて吸引するだけ。施術が終了して一回り小さくなった顔のバービーは、包帯をぐるぐる巻きにされているにも関わらず、なぜか満面の笑み。美しくなった自分と対面するのを楽しみにしているようなその笑顔は、少し怖いものがありますよね。

ソーシャルメディアに寄せられた大量のバッシング

連日TwitterやFacebookではこのアプリについての議論が激化し、小さな子供を持つ親をはじめ、男女を問わず怒りをあらわにするコメントが寄せられています。

「どうやったらこれがどの年齢の子供たちにも適切なゲームだと言えるの?!」

「わたしは実際に二児の父親だが、女の子達に彼女達の可愛さは不十分で、さらにその不十分さを『治せる』と教えるなんて! iTuneはいったい何を考えているのだろう?」

そして2012年4月より女性差別に関するメディアの廃止活動を行っているEverydaySexism(@EverydaySexism)というボランティア団体が、このアプリへの抗議活動を続けた結果、ついにAppleとGoogleもこのアプリを削除するに至りました。むしろどうやってAppleの審査を通過したのか謎ですが、子どもたちのためにもぜひ検閲を強めてもらいたいものです。

(文=Miho Namba)