カンバーバッチの究極の演技が見られる「幻の舞台」が日本上陸
 芝居のメッカであるNYやロンドンでは、今をときめく映画スターたちが実際に舞台に立つことも珍しくない。だが、お目当てのスターの舞台スケジュールに合わせて海外旅行ができる人はごく少数だろう。また、これらの舞台の大半は残念ながらDVD化されていない。ネットを通じて公演の情報はいくらでも手に入るのに、実際に観ることは叶わない……ファンにとってはまさに拷問である。

 なかでも、ベネディクト・カンバーバッチが’11年にイギリスのロイヤル・ナショナル・シアターで主演した『フランケンシュタイン』は、“なぜ日本で観られないの!?”と多くのファンを身悶えさせた伝説の舞台。この作品もDVD化はされておらず、どうしても観たい人はロイヤル・ナショナル・シアター本部に事前に申し込んだ上で、オーディオルームで録画をひっそり鑑賞するしかないというハードルの高さであった。それでも、日本から多くのファンが足を運んだという。

そんな「幻の舞台」が、ついにこのたび、日本でスクリーン上映されることになったのである。

『フランケンシュタイン』は、天才博士フランケンシュタインと、彼が生み出した「怪物(クリーチャー)」の悲劇を描く物語。ナショナル・シアター版では2人の俳優が同時に主演し、フランケンシュタイン博士役と怪物役を交互に演じるという趣向になっている。

「日本ではTVドラマや映画でブレイクしたベネディクトですが、もともとは舞台出身。ステージ上の演技には鬼気迫るものがあります。とりわけ、怪物役を演じる彼の姿は衝撃的。全裸風の誕生シーンでは、人間とは思えぬ動きで凄まじい演技力を見せつけてくれます。スクリーン上映のために特別に撮影された映像なので、細やかな表情やくちびるの震えまで追うことができるのもポイント。アップで見たときに『本当に演技がうまい人なんだ!』と実感しますよ」(配給会社・カルチャヴィルの中村未知子さん)

「醜いベネ様なんて見たくない!」というファンも、この「究極の演技」を見逃してはもったいない。なお、カンバーバッチがフランケンシュタイン博士を演じるバージョンでは、『シャーロック』のイメージに近い“英国紳士”の姿を堪能できる。ファンなら当然、両バージョンをチェックしたいところだ。

 W主演の相方を務めるのは、ジョニー・リー・ミラー。知名度ではカンバーバッチに及ばないが、主演ドラマ『エレメンタリー』(’12年放送開始)で世界的にブレイク中だ。『シャーロック・ホームズ』の舞台をアメリカに置き換え、しかもワトソン役が女性(ルーシー・リュー)ということで話題の本作で、ジョニーが演じるのはもちろんホームズ役。2人の「シャーロック」が揃い踏みする、海外ドラマファンにとってはたまらない顔合せなのだ。

 今回の『フランケンシュタイン』のように、映画以外のコンテンツをスクリーン上映することを「AC上映」と呼ぶ。日本でも、劇団☆新感線のステージ上映やメトロポリタン・オペラの生中継、プロレスの3D上映などによって、徐々にポピュラーになりつつある形だ。

「ロイヤル・ナショナル・シアターでは、『ナショナル・シアター・ライブ』(以下、NTL)と銘打って数多くの公演をスクリーン上映しており、イギリス本国のみならずヨーロッパ各国やNYなどでも広く人気を博しています。同劇場は、イギリスでもっとも格式の高い劇場ですが、古典を現代風にアレンジしたり、他ジャンルで活躍している先進的な演出家を起用したりといった実験的な取り組みでも有名。キャストの名前を聞いただけで思わず観たくなってしまう舞台が目白押しなんです。今回の『フランケンシュタイン』をきっかけに、日本でも引き続きNTLのコンテンツを紹介していきたいですね」(上映館・TOHOシネマズの小林秀司さん)

 チケット料金2700円で、S席の臨場感が味わえるお得感も嬉しいところ。過去にNTLで上映された舞台の中には、ポスト・カンバーバッチの呼び声も高いトム・ヒドルストン(『マイティー・ソー/ダーク・ワールド』が近日公開!)が主演するシェイクスピア劇『コリオレイナス』などもラインナップされている。ぜひ、今後の日本での展開に期待したい。

 NTL『フランケンシュタイン』は、全国のTOHOシネマズ15館(TOHOシネマズ六本木ほか)で期間限定上映。すでにチケットの問い合わせが殺到しているため、全劇場19:00の回をチケットぴあ「プレリザーブ」(http://t.pia.jp/cinema)で先行抽選販売中だ。受付期間は2月3日11:00まで。当選発表およびチケット引換開始は2月3日20:00ごろ。この機会を逃すな!

【上映スケジュール】
日程A 2月14、15、16日
フランケンシュタイン博士=カンバーバッチ、怪物=ミラー

日程B 2月21、22、23日
フランケンシュタイン博士=ミラー、怪物=カンバーバッチ

<取材・文/琵琶子>