2014年注目のアスリートたち(10)

 昨年11月29日のグランドスラム東京女子57kg級準々決勝で、昨年の世界選手権3位で、世界ランキング1位のM・ローバー(ドイツ)に右払い捲き込みで1本勝ちした出口クリスタ(松商学園3年)。準決勝ではロンドン五輪3位のM・マロイ(アメリカ/世界ランキング5位)から、縦四方固めで技ありを先取しながら、腕ひしぎ十字固めを決められて惜しくも敗れたものの、3位決定戦では昨年の世界選手権優勝者のR・シルバ(ブラジル/世界ランキング3位)を相手に、指導4で反則勝ち。ジュニアの頃から大器と期待されていた山本杏(国士館大)とともに銅メダルを獲得するという殊勲をあげた。

 カナダ人の父親と日本人の母親を持ち、3歳の時から長野県塩尻市にある誠心館で柔道を始めた出口。中1の時に全国中学柔道大会44kg級で3位になると、3年時には52kg級でも3位に入った。

 そして高校は、県外からの誘いを断り地元長野の松商学園に進み、高1のインターハイ52kg級で優勝。周囲からは将来を期待された。

 ところが高1最後の全国高校柔道選手権で減量に失敗して失格。それもあって高2からは57kg級に階級をあげたが、しばらくは勝てずに苦しんだ。この年のインターハイでは2回戦で準優勝した西尾直子(帝京高)に負け、全日本ジュニアでも北信越予選で敗退した。

 しかしその間に、それまで自信がなかった足技の克服に努め、大内刈りを得意技にするまでになった。その効果が表れたのは、2013年3月の全国高校柔道選手権だった。そこで、久しぶりに優勝を飾ったのだ。

 その後、8月のインターハイでは有田司(敬愛高)に敗れて2位だったが、9月の日本ジュニアでは有田に雪辱して優勝。さらに初出場だった10月の世界ジュニアで3位になると、シニアに挑戦した講道館杯で3位決定戦を制して銅メダルを獲得した。

 スピードとパワーが武器の出口だが、自分ではメンタルの強さにも自信があるという。カナダ国籍も持つ彼女は、9月の日本ジュニアで勝った時に、競争の激しい日本ではなく、「カナダ代表として五輪を目指したい。そのほうがチャンスがある」と話していた。しかし今は、日本代表で五輪を狙いたいという気持ちが強くなってきているという。

 シニアの国際大会であるグランドスラム東京で3位になると、その1週間後に韓国で行なわれた柔道グランプリ・チェジュ大会にも出場し、オール一本勝ちで初優勝を果たしている。

 昨年は3回戦で78kg超級の田知本愛に開始早々敗れた体重無差別の全日本選手権(今年は4月20日から開催)にも、挑戦する前向きな姿勢を見せた出口。今年の4月からは中学時代に出稽古に行っていた山梨学院大へ進み、世界を目指す。

 当面の目標は4月5日から福岡で開催される全日本選抜体重別選手権。出口が出場する予定の57kg級には、ロンドン五輪金メダリストの松本薫を筆頭に世界ランキング8位の山本杏や、12位の石川慈、13位の宇高菜絵がいる。

 シニアの世界に進んだ出口が、そんな猛者たちを相手にどこまで戦うか、2014年の飛躍に注目だ。

折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi