昨年から大きく内面が変化した石川、今季はすでにシード権を手中に(撮影:岩本芳弘)

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 ファーマーズ・インシュアランスオープンの最終ラウンドを終えたとき、松山英樹は「ショットが悪い中、ここまでいいスコアで回れたのは自信になる。手ごたえになる」と言った。石川遼は「自分ではここまでひどいプレーだったのに、この順位っていうのは米ツアーでは初めてです」と言った。
遼、初V逃すも手ごたえ「そこまで差はない」
 2人とも、この日の自分のゴルフの内容そのものに満足はしていない。だが、それでも彼らは、スコアをまとめ、上位で終えることができた。松山は首位と6打差の27位から最終ラウンドをスタートし、スコアを3つ伸ばして首位と4打差の16位でフィニッシュ。石川は首位と3打差の6位からスタートし、首位と2打差の7位でフィニッシュ。2人とも、スコアを伸ばし、フェデックスポイントを少しでも多く稼ぐという面で職業ゴルファーらしさを見せてくれた。そして、同時に彼らは、それぞれの“らしさ”も見せてくれた。
 石川は米ツアーの正式メンバーとして2シーズン目を迎えている。昨季の序盤戦のころの石川と、今日、目の前にいた今季の石川は、まるで別人と言っても過言ではないほど考え方や姿勢が変化している。
 
 昨季の序盤戦は予選落ちが続いたが、石川は「予選を通るために米ツアーに来ているわけじゃない」「目標はあくまでも優勝です」と言い続けていた。優勝争いができないのなら予選だけ通ったところで大した意味も意義もないと言いたげで、ときには「一つ一つ、ちまちま積み上げていくものじゃないと思うんですよね」なんて言葉を吐いたことさえあった。
 腰痛に悩まされて思うように練習ができず、それでも試合に出場して予選落ちの繰り返し。強がり、投げやりにも見えた予選落ちに対する石川の姿勢は、自分でも止めることのできない悪循環や焦燥感の裏返しでもあったのだろう。
 だが、腰痛という“彼の事情”を差し引いたとしても、当時の石川の頭の中は、やっぱり「米ツアーに出ること、イコール、優勝を狙うこと」という考えで占拠されていたのだと思う。
 けれど、シード落ちの危機に瀕しながらファイナル4戦で敗者復活を果たし、苦しみながら這い上がってきたことで石川は変わった。米ツアーの「層が厚い」の本当の意味、周囲の選手たちの本当の底力を肌身で感じ取り、それらを吸収し、我が物にした。
 だからなのだろう。今日の石川は優勝争いができる位置からスタートし、一時的には首位に並んだりもしたのだが、彼自身は「(優勝スコアは)10アンダーはいくと思っていたから、優勝は遠いと思って、リーダーボードはほとんど見なかった」。
 初めてボードを見たのは15番グリーンだったそうだ。そのとき石川は現実の目標として「トップ10のチャンスはある。がんばろう」と自身に言い聞かせた。実際にトップ10入りしたホールアウト後も「予選はしっかり通る(べき)もの。どんな調子であっても、予選を通れば、ここまで来れる」ということに満足感を示した。
 それは、米ツアーで2年目を迎える石川だからこそ感じられる満足感。2年目の石川らしい変化だ。彼は1年目の経験を生かし、大きく変化している。その変化のことを、別名、「成長」と呼ぶのだろう。
 それならば、米ツアー1年目を迎えたばかりの松山は、まるで昨季の石川とそっくりかと言えば、そうではない。松山が変化して成長するには、やっぱり2年目まで待たなければならないのかと言えば、そうではない。松山は1年目にも関わらず、すでに2年目の石川と同じような目線で米ツアーにおける自分の立ち位置を見つめることを知っている。
 だからこそ松山は、ショットが悪くてもスコアを作り、順位を1つでも2つでも上げることを「今やるべきこと、できること」と捉えることができている。「いいパットが入っている」「去年、米ツアーで学んだことがショートゲームに生かせている」と好材料を見つけることもできている。そんな前向きな姿勢が、8週間のブランク明けの試合出場で16位という、まずまずの好発進につながったのだと思う。
 「まだ優勝を狙える状況じゃない。ショットを練習し、どこまで思った球が打てるか。首位との差が今の自分の力。ショットが良くなったからと言って、その差が縮まるとは思わない。それを縮めていけるように頑張りたい」松山らしい冷静で現実的な分析と目標設定だった。だが、こんな熱さも、もう一つの松山らしさだ。「リョウが上位にいるし、(自分も)そういうところでやりたかったというのはある」。
 思わず本音を口にするあたりは、松山の最大の“らしさ”であり、最大の魅力でもある。そして、石川と松山の強き良きライバル関係があるからこそ、2014年のこれからが楽しみでたまらない。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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