消費者にとって、種類が多く複雑な保険商品から自分に最適なものを選ぶのは至難の業。だからこそ生命保険の営業現場や広告などでは、「わかりやすいキャッチコピー」を使って消費者を誘導しようとしている。新刊『生命保険の嘘』(小学館刊。大江英樹氏との共著)を上梓した、大手生保の元営業マンで現在「保険相談室」代表を務める後田亨氏は、特にCMや広告に使われる「数字」に注意すべきと訴える。

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「先日、こちらの職場でお会いした方も弊社でご契約いただきました」

 大手生保の営業部で働き始めた頃、「影響力募集」という言葉を上司に教わりました。営業マンとして駆け出しの私がお客様に「この商品がおススメです」と言っても説得力に欠けるから、「他者の力」を使うように指導されたのです。冒頭の言葉は、セールストークの中に挟んで使いました。

 保険販売から離れた今でも、“影響力”を利用した勧誘が行なわれていることを実感する場面は多くあります。保険会社や代理店の広告などで使われているコピーがまさにそうです。

「ご契約者は約1000万人」(日本生命)
「がん保険は保有契約件数No.1、そのシェアは74.1%、さらに医療保険〈EVER シリーズ〉も一番選ばれています」(アフラック)
「年間20万件以上の相談実績」「保険契約継続率97%以上」(ほけんの窓口)

 ここで取り上げた広告などで使われるコピーの例は、いずれも数字を強調したものです。単に「人気です」と言うよりも客観性があるとの計算かもしれませんが、数ある商品から適切なプランを選ぶのが大変であるという消費者の足下を見て、多数派や権威に従うことを促しているようにも思えます。

※後田亨・大江英樹/著『生命保険の嘘』(小学館刊)より