[其ノ四 注目商品 マイホーム対決番外編]老後の選択肢が増える購入に軍配
購入VS.賃貸

昔は狃斬霑佻〞の上がりは一戸建て購入だったが、賃金や雇用への不安から若い世代は賃貸に住む傾向にあるという。そもそも購入と賃貸、どちらが有利?

住宅購入と賃貸住宅、支払総額ではあまり変わらない

マイホームを購入する場合と賃貸住宅に住む場合の支払総額を現時点で比較すると、一般的な物件の場合、実はそんなに変わりません。下の表は35歳の人が85歳まで暮らす場合を試算したもので、支払総額の差は160万円ほどです(購入した場合、法定耐用年数47年を超えた築50年のマンションは残る)。

「購入と賃貸のどちらが有利かは、どの程度の物件をどこに買うか、頭金と住宅ローンの金額や金利、何歳まで生きるか、親の家を引き継ぐかどうかといった条件によってかなり変わります。ということは、今後の家計の負担や、家族や生活の変化に対応できる住居スタイルになっているかどうかが重要なポイントになるのです」と話すのはFPの金子千春さんです。

購入と賃貸で違いが大きそうな面で比べてみましょう。

まずは初期費用から。

購入する場合には、物件価格以外に諸経費がかかります。火災保険や地震保険に加入する場合の保険料もばかになりません。一方、賃貸の場合は、基本的には敷金と礼金、仲介手数料です。火災保険料や保証料も支払うことになりますが、ともに数万円程度。賃貸が圧倒的に有利です。

次にメンテナンス費用。

子供が成人して家を出た後、家族構成の変化による間取りの変更から修繕や模様替え、老後に備えたバリアフリー化など、メンテナンスやリフォームをすると800万円程度かかります。賃貸の場合、引っ越しのときに修繕費が必要となりますが、普通に暮らしていれば、ほとんどの場合は敷金で賄えます。

では、毎月の支払いと年間の費用はどうでしょうか。「購入すると管理費や税金などの負担があり、賃貸のほうが有利に思えますが、購入では住宅ローン控除が受けられ、賃貸では2年ごとに更新料がかかるので、実質的にはあまり変わりません」(金子さん)

●購入か賃貸か、35〜85歳の支払総額を試算

購入(35歳で新築マンションを購入)
物件価格:4000万円
諸経費:400万円(物件価格の1割)
頭金Ⓐ:900万円
住宅ローン借入金額:3500万円(35年間返済)
住宅ローン返済総額Ⓑ:4764万円(月約11万3000円)
住宅ローン控除額Ⓒ:303万円(新住宅ローン減税で最大限)
管理費、修繕積立費、固定資産税・都市計画税Ⓓ:2250万円(年45万円×50年間)
リフォーム代Ⓔ:800万円
支払総額:8411万円(Ⓐ+Ⓑ−Ⓒ+Ⓓ+Ⓔ)

賃貸(家族の変化に合わせ50年間に3回引っ越し)
家賃(子供が小さいうち5年間):780万円(2LDK、月13万円)
家賃(子供が大きくなり住み替えて25年間):4500万円(3LDK、月15万円)
家賃(老後に備え住み替えて20年間):2760万円(2DK、月11万5000円)
敷金・礼金:79万円(各2カ月分×3回)
更新料:321万円(引っ越し時を除き、2年ごとに1カ月分)
仲介手数料:40万円(1カ月分×3回)
引っ越し代:90万円(各30万円×3回)
支払総額:8570万円

※金利、管理費、修繕積立金、修繕のための一時金、家賃の変動などはないものとする。
※金利は1.81%(フラット35)、事務手数料は融資額×1.05%。団体信用生命保険は考慮しない。
※敷金の戻りはなしと仮定し、火災保険料も考慮しない。

購入物件を貸し、家賃を住み替え先の費用の足しにできる

最後に、万が一の場合。

一家の大黒柱が死亡した場合、賃貸では家賃やその他の経費を遺族が払うことになりますが、実家に戻る、家賃の安いところへ引っ越すなど、対応は可能です。ただし、落ち着くまでは経済的に苦しい状態が続く可能性があります。対策としては、住居費分の生命保険に加入することですが、保険料負担があります。