[其ノ三 投信ファンダ編]新興国を対象とした新たなREITが登場
日本でJ−REIT(不動産投信)が初めて発売されたのは2003年。10年余りが過ぎて市場は拡大中だが、NISA(少額投資非課税制度)の登場で新しい風が吹きつつある。

商品発売から10年で転換点を迎えたREIT投信市場

「新光US −REITオープン(愛称:ゼウス)」の10月末時点の純資産残高が、REITに投資する国内投信として初めて1兆円の大台を突破しました。

2004年9月に約110億円の当初設定額で運用を開始した同ファンドは、リーマン・ショックの直後に10億円台まで残高を減らしました。しかし、高利回り・高分配投信ブームも相まって、2010年後半から一気に頭角を現しました。

REITには、個人を含む投資家が少額で不動産に間接投資できるというメリットがあります。分配金もほかの投信に比べて高めに設定されていることが多いので、個人投資家に人気を誇っています。さらにREITを組み入れた投信であれば、1万円などさらに少額で不動産への投資が可能となるだけでなく、個人では直接の投資が難しい海外の不動産にもアクセスできます。「ゼウス」は先進国のREIT市場の5割超を占める米国に投資しており、世界的に景気回復期待が高まった昨年後半から一気に基準価額が上昇しました。

REITを組み入れた投信は、2003年の投信協会の規則改正によって誕生しました。J―REIT(日本版不動産投信)市場自体も、最初の不動産投資法人の誕生が2001年と、その歴史は10年程度にすぎません。50年以上の歴史を誇る米国のREIT市場と比較すると、日本のREIT市場と、REITを組み入れた投信の市場はまだまだ発展途上にあるといえるでしょう。

冒頭の「ゼウス」をはじめREITを組み入れた投信は、2000年代半ばに多く設定されており、現在の売れ筋も設定から7〜8年が経過したものがほとんどです。こうした中、最近はNISA(少額投資非課税制度)の運用開始で「非・毎月分配型」にも注目が集まっており、REIT型投信にも新たな動きが出ています。

新興国REITが人気上昇中。今後も期待大

そのひとつが、2013年11 月18日に運用を開始した「eMAXIS 新興国REITインデックス」の登場です。「eMAXIS」は、三菱UFJ投信が展開する低コストのインデックスシリーズで、同ファンドが追加されたことにより、現在は計14本のインデックス型ファンドが同じシリーズ内で展開されています。

肝心の新興国REIT市場の実態はというと、「新興国リート」がベンチマークとして掲げる「S&P新興国REITインデックス」の約半分は南アフリカによって占められています。

南アフリカのREIT市場の規模は日本円で約2兆円と、日本の3分の1以下ですが、2009年ごろから右肩上がりの上昇を続けています。これから資金流入が期待される市場なので、本数はさらに増えていくでしょう。

新興国REITというもの珍しさだけでなく、毎月分配型が約6割(本数ベース)を占めるREIT型投信の中で、年1回決算かつ低コストのインデックス型は、NISAだけでなく投信積立とも相性のいい新タイプとして今後さらに注目度が高まるとみられています。

今月の海外投信ノ「値」2480億米ドル

「トータル・リターン・ファンド」の純資産残高

米モーニングスター社によると、債券運用大手のPIMCOが運用する「トータル・リターン・ファンド」は、10月に世界最大の投資信託の地位から陥落しました。6カ月連続の資金流出に見舞われたためで、債券型ファンドは依然苦戦中です。

【今月の投信師匠】
篠田尚子(SHOKO SHINODA)
楽天証券経済研究所ファンドアナリスト

慶應義塾大学法学部卒業。国内銀行、リッパー・ジャパンを経て、2013年11月より現職。情報収集力と分析力は天下一品!



この記事は「WEBネットマネー2014年2月号」に掲載されたものです。