昨年10月に生命保険協会が発表した「生命保険の動向」によれば、生命保険加入件数は前年比106%と増加している。

 しかし、『生命保険の嘘』(小学館刊)の著者で「保険相談室」代表の後田亨氏は、「今の生命保険のほとんどは不要であり割高。特に支払い確率の高い高齢者には向かない。生保各社がアピールする“安心”を安易に信じてはいけない」と警鐘を鳴らす。

 たとえば、いま保険業界のブームとなっている「持病があっても入れる」「簡単な診査で入れる」という商品がある。

 テレビCMでも頻繁に耳にするフレーズだが、宣伝の甲斐あってか、実際に高齢者の生命保険加入率は高まっている。

 生命保険協会の調査によると、個人保険の新規契約に占める60歳以上の割合は、2007年度で12%だったが、2012年度には16.9%にまで伸びた。

 後田氏はこういった商品を、「事故の発生率をあらかじめ高めに見込んだ自動車保険と同じようなもの」という。保険会社の支払いが増えることを前提としている分、契約者が払う保険料も高額になって当然なのである。

「安い保険料で大きな保障を得るのが保険の本来の在り方です。だから、保険という商品が成り立つには、保障の対象はレアケースでなければならず、頻発するケースは保険になりません。

 高齢者や病気を抱える人が多くなれば、当然リスクは増えるため契約者が払う保険料は高くなり、大きな保障は確保できない」

 仮に70歳の男性が、持病があっても入れるA社の終身医療保険(入院給付金1日1万円で、入院1回の限度日数60日のタイプ)に加入した場合、毎月の保険料は約1万8000円で、80歳までの10年間に支払う保険料は約220万円に達する。これは通常の医療保険の5割増し以上の額だ。

 もし加入者が病気になって1回10日間入院したとしても、給付金は10万円である。はたして料金にふさわしい価値があるだろうか。

 保険会社の営業担当者がそういった説明をするのはまれで、「高齢者でも保険に入れる」というメリットばかりを強調しがちだ。

 単純に「保険に入ること=安心」ととらえていると、その対価が想像以上に高くついていることに気づかないのである。

※週刊ポスト2014年1月31日号