[其ノ二 FX プロディーラーの視点!]最新!世界通貨のパワーバランスとは?
2014年は米国の量的緩和縮小が現実に!? 前提となる米国経済の回復、消費増税前に打ち出されるはずの日銀追加金融緩和策を踏まえると、円安トレンド継続か?

年始早々、日銀は追加金融緩和策を発表するはず!?

2013年は急速な円安進行でスタートしましたが、2014年の外国為替市場にはどんな展開が待っているのでしょうか?

相変わらず、注目度ナンバーワンのテーマは「米国の金融緩和縮小」です。すでに2月にジャネット・イエレン現副議長が女性初のFRB(連邦制度準備理事会)議長に就任することが決定。彼女が「失業率はまだ高すぎる。量的緩和縮小は白紙」と明言していることから、緩和縮小はどんなに早くても3月から4月以降にずれ込むと見ています。

本来、米国で金融緩和が続けば円高・ドル安要因になるはず。しかし、イエレン氏の「緩和継続」発言を受けて、株高と1ドル=103円超の円安が同時進行しています。世界的に株が上昇すると日本円が売られるという「株高・円安の逆相関関係」が続き、この逆相関は2014年も崩れないと思われます。

ただし、外国人投資家が「第3の矢」として期待してきたアベノミクスの成長戦略や規制緩和は、はっきり言って期待はずれ。2014年4月に迫った消費増税後は、消費の落ち込みが予想され、2015年10月に控えた税率10%への引き上げも視野に入るため、心理的なインパクトはネガティブ。

外国人投資家が「日本株売り・円買い」の巻き戻しの動きに出る可能性もあり、こうしたリスクを回避するためには、日銀の早期追加緩和がぜひとも必要です。リスクの高い金融資産を買い入れるなど、年初早々の1月にでも新たな追加緩和策を打ち出すことが「株高・円安」持続には急務といえます。

一方、緩和縮小の先送りでドルが不安定さを増す中、ユーロ高が続いています。これは、過去の欧州危機で資金が流出したユーロへの資金回帰が原因ですが、現実は「ドイツの独り勝ち」で、イタリアやスペインなどの失業率は依然として高水準。ドラギ総裁率いるECB(欧州中央銀行)がデフレ阻止を名目に追加金融緩和を行なう可能性もあり、一方的なユーロ高がこれ以上続くとは思えません。

利上げ期待の英ポンド、カナダドル、NZドルに投資妙味あり!

さらに世界各国の通貨のパワーバランスを見渡すと、英国、カナダ、ニュージーランドでは利下げ打ち止め感や景気回復期待が浮上しており、2014年中の利上げも視野に入ってきました。

また、政策金利を史上最低の2・5%まで引き下げた豪州には、これ以上の利下げはなさそう。こうした国々をそれぞれグループA・Bとするなら、金融緩和の出口戦略を模索する米国がグループC、2014年以降も追加金融緩和が濃厚な日本とユーロ圏はグループDとなります。

基本的にはグループAの通貨が強く、グループDの通貨が弱くなる可能性が高いと思われますが、このパワーバランスの大前提となるのは、あくまで米国経済の回復。米ドル/円に関しても、日本のゼロ金利が続く以上、日米金利差が広がり円安トレンドがさらに強化されるには、米国に利上げ方向の動きが出ることが絶対条件です。

まだまだ「1ドル=100円相場」が投資家から信認されているとは思えません。

ただ、これまで外貨投資に消極的だった機関投資家がようやく重い腰を上げて外貨買いに動けば、2013年の高値1ドル=103円を明確に超え、108円台への円安進行が視野に入ります。

誰の目にも、円安・ドル高トレンドがまだピークに達していないことは明らか。米国経済の回復、日銀の追加金融動向を見ながら円安トレンドに乗るのが、2014年におけるFX投資の基本戦略であると考えます。

【今月のカリスマ軍師】
上田眞理人(MARITO UEDA)
FXプライム 取締役

東京銀行、モルガン銀行、ドレスナー銀行などで為替ディーラーや外国為替部長を歴任後、現職。



この記事は「WEBネットマネー2014年2月号」に掲載されたものです。