スマホやタブレット選びにも影響する！？ギガビット無線LAN時代がやってくる
無線LANは、今ではパソコンだけでなく、人気のスマートフォン（スマホ）やタブレット、携帯ゲーム機などでも使われるようになっています。スマホで利用される3GやLTEのモバイル通信に比べて通信速度が高速で通信料金も安いのが大きなメリットですが、有線LANよりは通信速度が遅く、屋外で利用できるアクセスポイントも少ないことや障害物や電波干渉などの影響を受けやすいといった課題がありました。
最新の「IEEE 802.11ac」は、こうした課題を改善して最大6.93Gbpsという有線LANを凌ぐ高速なデータ通信を実現できることから、パソコンだけなく、スマホやタブレットでの利用拡大にも大きな期待がよせられています。
スマホやタブレットにおいても、2013年冬モデルのXperiaシリーズ、GALAXYシリーズ、ARROWSシリーズ、AQUOS PHONEシリーズ、Nexusシリーズなどがいち早く「IEEE 802.11ac」ドラフト版に対応しています。
これからギガビット無線時代の幕を開ける「IEEE 802.11ac」のメリットや注意点などを簡単に知っておきましょう。
■「IEEE 802.11ac」は現在の最大10倍以上の通信速度が実現できる
「IEEE 802.11ac」は、5GHz帯の電波を用いて433Mbps〜6.93Gbpsの高速なデータ通信を行うことができる無線LANです。
現在の最速の無線LANである「IEEE 802.11n」は、20MHzの帯域幅を2つ束ねて40Mhzとして最大600Mbpsの通信が可能でしたが、「IEEE 802.11ac」は20MHzの帯域幅を4つ束ねて80Mhz、8つ束ねて160Mhzとして規格上は最大6900Mbpsもの高速通信ができます。
ざっくり言うと、現在の10倍以上の速度が利用可能ということになります。
データが流れる幅を広げることで通信量を増やすという手法は、ソフトバンクモバイルがLTEを2つ束ねて高速化した方法にも似ていますね。
さらにMU-MIMO（Multi-User Multiple-Input Multiple-Output）技術によって、IEEE 802.11nでは4基までだったアンテナが、最大8基まで増やせるので一度に2倍のデータを送受信できます。
もちろん、最大通信速度を実現するには対応製品が必要で、現在提供が開始されたルーター製品はまだ最大でアンテナ3本、80MHzチャネルなので1.3Gbpsが上限となっています。それでも現在の2倍以上の速度となります。今後、160Mh対応製品も順次提供されていく予定です。
■動画ストリーミングや複数同時利用での通信が安定する
「IEEE 802.11ac」のメリットは、通信速度が高速だけでなく一度に流れるデータ量が多くなる点です。
現在の「IEEE 802.11n」でもネットでWebやSNSをみたり、投稿したりするには十分な速度がありますが、HD動画などのストリーミング視聴では映像が途中で止まったり、切れたりといった現象が発生することがあります。「IEEE 802.11ac」であれば、こうしたケースでも映像が途切れずに視聴できる可能性が高くなります。また障害物にも強いほか、複数のユーザが同時に接続した際も速度が落ちるなどの通信品質の低下を避けることができます。
■「IEEE 802.11ac」での注意点
無線LANながら有線LANに匹敵する快適さが実現できる「IEEE 802.11ac」ですが、注意点もあります。
まず仕事場や屋外施設で利用するには「IEEE 802.11ac」対応の無線LANサービスが必要となります。また家庭で利用する場合は、「IEEE 802.11ac」対応の無線ルーターが必要です。
このほか、「IEEE 802.11ac」に接続するスマホやタブレット、パソコンなども「IEEE 802.11ac」対応していないと「IEEE 802.11ac」の恩恵はありません。
今年から来年にかけて、「IEEE 802.11ac」対応の無線LANサービスや対応製品の普及により、無線通信は新しい時代に突入すると言えます。
今後のパソコン、スマホ、タブレット選びでも、「IEEE 802.11ac」対応製品であるか否かは、重要なチェックポイントになりそうです。
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