大和ハウスは2013年3月期にハウスメーカーとして初めて売上高2兆円を突破。急成長を遂げたが、各部門を見ると例えばマンション販売戸数で野村不動産が首位であるように、業界トップはない。幅広い事業によるいわば“金メダルなき総合優勝”なのだ。2011年に社長に就任し、樋口武男会長とともに同社を引っ張る大野直竹氏はどんな舵取りを目指すのか。直撃した。

──この3年間は成長できた。次の3年間はどう見ているか。

大野:これまでは、会社のなかを注視してきた3年間。次のステップに向けて事業を精査してきた。次の3年は大きく事情が変わる。社内ではなく外的要因として、消費税が段階的に上がっていく。

 戸建住宅では、現行の5%が適用される13年9月までに駆け込み需要があったため、10月以降の受注は落ち込んだ。どこで下げ止まるかがポイントになる。さらに8%から10%にアップすると、その影響はかなり大きいことが予想される。中期経営計画では2015年度で2兆8000億円という売上高を目標としているが、これは消費増税の影響などを考慮し、保守的に見た数字だ。社内では3兆円を目指してやっている。

 もう一つの外的要因はアベノミクス。土地の値段は東京五輪が開かれる2020年まで上がって、不動産は手に入れづらくなるだろう。そのために当社は、早め早めに手を打っている。

──大和ハウスは、スーパーゼネコンの鹿島より売上高が大きい。しかし、業界トップの部門がない。

大野:マンションにしても賃貸住宅にしても、数でトップをとれとは指示していない。中身でトップになっていく。顧客満足度で1位であることが大切だ。賃貸ならばオーナーだけではなく、入居者の満足度トップを目指す。数を追うのは簡単だが、それは土地の高値づかみや安売り、無理な販売につながる。そういう時代じゃない。お客様の満足度を高めた上で、個別事業の業界トップを狙いたい。

──例えばマンションで販売戸数トップの野村不動産は「プラウド」でブランド化に成功している。そうした戦略は採らないのか。

大野:「大和ハウスのマンション」が良い商品だということは浸透させていきたい。ただ、他社の真似はしたくない。

 当社は多くの分野で、リスクを恐れずに「業界初」のことをやってきた。先発の優位性を活かすのがウチのやり方だ。二番煎じはしない。
 
 野村さんが「プラウド」としてブランド化したのはうまいと思う。その点ではこちらの負け、相手が一枚上手だった。真似せず違う方法で挽回したい。

──フジタ買収で海外への橋頭堡を築きつつあるが、グローバル展開は緒についたばかりだ。

大野:国内は少子高齢化し、人口が減少する。海外に出るのは必須だ。フジタは海外に多くの拠点を持っているし、技術力も世界トップクラスなので十分戦える。しかし、今は国内で手一杯で、海外に人を割けないというジレンマがある。最近、社内でアンケートをとったところ「海外に出てもいい」という社員が400人弱いた。今後は彼らに期待して、海外展開をスピーディに進めていく。

※SAPIO2014年2月号