不二ラテックスの新素材コンドームは柔らかさを追求

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 これまで日本製コンドームといえば、限りなく装着感がないほうが快適だとされ、メーカー各社は長年「薄さ勝負」を繰り広げてきた。

 その結果、相模ゴム工業が開発した『サガミオリジナル』の新シリーズは、なんと0.01mmという驚きの薄さを実現。“世界最薄”を謳い、昨年末に都内を中心に限定販売をしたところ、2週間であっという間に売り切れてしまったほどだ。

 だが、薄さにこだわるのはコンドームを装着する男性側のニーズであり、薄いと破れてしまうのでは? という女性側の心配の種になっていたことは否めない。そこで、「男女双方から受け入れられる機能」を兼ね備えたコンドームを開発したのが、不二ラテックスである。

 同社が3月19日より発売開始する『SKYN』は、従来型コンドームの素材として知られるポリウレタンや天然ゴムラテックスとは異なる新素材、ポリイソプレン(PI)を使うことで、薄さを追求しなくても、より装着感のないコンドームが完成したという。

 不二ラテックス代表取締役専務執行役員の岡本昌大氏が説明する。

「SKYNの薄さは0.06mmほどですが、新素材のPIを使うことで手のひらに近いやわらかさと伸びのフィット感を実現させました。しかも、破裂試験ではポリウレタンの4.5倍、天然ゴムラテックスの1.5倍の強度があります。

 装着感や薄さを求める男性の“物理的な気持ちよさ”と、避妊用具としての安心感を求める女性の“心理的な気持ちよさ”の両方を満たす商品ができたと自負しています」

 岡本氏によれば、薄さを巡る各社の競争は「0.01mmで打ち止め。それよりも薄くすると必ず強度が危うくなる」と話す。つまり、ここにきてコンドーム開発は「薄さ」の勝負を終え、「機能性」重視へとシフトしていくかもしれないのだ。

 そもそも、薄さにかける日本メーカーの執念は不毛だったとの指摘もある。日本家族計画協会クリニック所長で医師の北村邦夫氏がいう。

「すでに日本製のコンドームは世界のほかの国々に比べて品質が高く、これ以上、薄さや新素材の開発をしなくても十分なレベルにあります。しかも、0.01mmならコンドームをつけたいが、0.03mmは気持ちよくない――なんて言うほど男女の感覚は鋭いわけではありません。

 それよりもメーカーに求めたいのは、口腔性交が原因の性感染症が増えている今日、フェラチオ用コンドームの開発や、避妊具として女性が主導権を握れる女性用コンドームの復活こそ重要だと考えます」

 少子高齢化や若者のセックレスなどの影響で、国内では減少傾向にあるコンドーム市場。直近の販売量をみても、2011年に数量270万グロス(1グロス=144個)、金額400億円だった市場は、2012年には250万グロス、370億円と減り続けている。使用者の減少はメーカーにとっては悩ましい問題だろう。

 だが、北村医師の言うとおり、コンドームにはHIVをはじめとする数々の性感染症予防の「用具」としての機能も期待されている。そうした意識啓発をする意味でも、次世代コンドームには気持ちよさだけでは量れない高機能性が求められている。