開幕を翌日に控えた日、石川はやけに余裕のコメントを残していた。「最低でも明日は70位ぐらいでスタートできればいい。自分は2日目から4日目にかけて良くなっていくタイプ。初日から高い目標を立ててやるよりは、一打一打冷静に、ゆっくりゆっくりやれればいいと思います」
【コラム前編】同じ予選落ちでも…1年越しで見えた石川遼の成長
 腰や股関節の不安が軽減したことによって、13年シーズン終盤から昨年10月に開幕した13-14年シーズンと、石川は好調を持続してきた。第2戦シュライナーズホスピタルでは自己最高位に並ぶ2位に入り、かつてのように予選落ちに怯えることなくPGAツアーで戦えている自負のようなものが芽生えているのだろう。
 「毎日、ビッグスコアを目指すというよりは、初日、2日目は周りの選手も見ながら、“今日は全体的にどれぐらい伸びるのかな”とか探り探りやっていきたい。その日のコースコンディションによって、“この風ならスコアが伸びる”“これだけの強風ならスコアは伸びない”と判断して、全体の流れに乗り遅れないようにしたい。その判断を間違って、伸びそうだからと攻めすぎると墓穴を掘ってしまう。1シーズン戦って、昨年の終盤は、そういう判断が当たるようになってきましたね」
 ソニーオープンの会場であるワイアラエCCは、海沿いにありながら木々が林立し、石川が苦手とする林間コースの様相を呈す。初日を3オーバー、118位タイと出遅れた石川は、2日目もスコアを伸ばすことができず、2度目のソニーオープンもわずか2日間の戦いに終わった。
 だが、一年前との違い、それは予選落ちが濃厚となっても、自分のゴルフを貫こうとしている点だ。昨シーズンは思ったように2日目にスコアを伸ばせないと、ひとつのミスをきっかけに連続してボギーを叩き、糸の切れた凧のようになる石川がいた。8月のリノタホオープンでは、自分への不甲斐なさから芝生の上に寝っ転がってしまったこともあった。
 ところがソニーオープンでは、2日目のハーフターンでカットラインまで5打差に広げられるも、ひとつでもスコアを伸ばそうとスイングの微調整に力を注ぎ、最終ホールは見事なイーグルを奪って一矢報いた。ただがむしゃらなだけでなく、PGAツアーにおける自分の実力を直視し、目の前の試合の結果を求めること以上に、少しでも実になるゴルフを続けようという意思がプレーから垣間見えた。
 それゆえラウンド後の表情は明るく、ショットに大きな不安を抱えていた1年前のように、悔恨の思いを吐露することもなかった。
 「ショットもパッティングも、技術的には何も問題ない。ストロークプレーの試合から3週間遠ざかったことによる集中力の問題だったと思います。やっぱりイメージが出ないことが多かった。集中をすごくしているときは、瞬時に200y先でも1y単位でグリーンのここに落ちて、こう転がしてというイメージができるんですけど、今週は時間がかかった。こういう試合勘は、試合に出続けることで取り戻せるはずです」
 当初、出場をキャンセルする予定だった次戦「ヒューマナ・チャレンジ」への出場を決め、これで2月13日開幕のノーザントラストオープンまで6連戦を自らに課すこととなった。
 「昨シーズンより(シード権獲得に必要な)フェデックスカップポイントの意識は高まっている。昨年は自分の実力がどれぐらいか分からないところがあった。今年は2度目、3度目のコースが多くなる。今シーズンの方が落ち着いてプレーできているので、焦らず、できるだけ早くシードを決めたい。早くシードを確定させることで、優勝を狙っていこうという気持ちになると思います」
 結果に一喜一憂するのではなく、心に余裕を持ってシード獲得に向けた一歩を着実に刻んでいく。昨年のように、結果を焦って予選落ちを繰り返すようなことはあるまい。
文/柳川悠二
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