【今回の質問】

前号で山田さんの保険に対する考え方を知り、生まれて初めて加入を検討しています。しかし、いざ調べてみると無数の商品があり、決めきれません。選び方のポイントをもう少し教えてください。(会社員・26歳)

女子高生と山田真哉の「5分間会計学」

 前回、生命保険と医療保険の必要性について説明しましたが、各社とも保障内容が微妙に異なっており、単純に保険料を比較できないのが保険選びの難しいところ。そこで、まず頭に入れておきたいのは、保険には2タイプの基本構造があることです。

(1) 貯蓄性のある保険……一生涯保障が続く「終身保険」、保障期間は設定した期間内のみだが、払込満了時に保険金額と同等かそれ以上の満期金を受け取ることができる「養老保険」など

(2) 掛け捨ての保険……保障期間は設定した期間内のみで、満期返戻金もないが、保険料が養老保険よりもかなり安い「定期保険」など

 大事なことは、今、いくら払う余力があるかということ。終身や養老のように返戻金があるタイプは保険料も高く、それがない定期タイプは安くなります。大まかな計算ですが、養老保険の保険料は定期保険の5倍程度になります。

◎2人に1人以上は80歳まで長生き

 私の場合、生命保険は(1)のタイプで、運用成績によって返戻金が変動する変額保険(終身型)を選択。保険も投資の一環ととらえています。

 そして、医療保険は(2)ですが、長生きすればするほど医療費も増していく「長生きリスク」に備え、終身タイプを選択しています。厚労省が発表している「完全生命表」をもとに試算すると、現在35歳の男性が80歳まで生きる確率は約60%。そう考えると、65歳満期の定期タイプでは、肝心の70代、80代の医療費に大きな不安が残ります。

 結局、自分が何に対して不安を抱き、自分と家族にどんな保障を求めているかを明確にし、その不安を拭い去るために必要な保険を、「金額」と「期間」の2点から見極めることが大切。極端な話、独身で結婚の予定もなければ、生保に加入する必要はありません。余分なお金があれば貯蓄し、老後はその貯蓄をあてにすればよいだけです。

 一方、結婚して幼い子がいるなら、青年期の貯蓄だけでは不安が残ります。残される家族の生活の立て直しのためには、1000万円ぐらい必要でしょうし、保障期間も子供が成人するまでは見ておきたいところ。家族のためを思えば、保険料のやや高い生保に加入することもひとつの選択肢だと思います。

 もし、どうしても生保の保険料が高いと感じてしまう人は、「収入保障保険」を検討してみてはいかがでしょうか。文字どおり、何かあった時の収入を保障する商品で、一般的な生保に比べて保険料もやや安くなります。また、生保はたいてい死亡時のみですが、収入保障保険は病気や事故などで障害が残り、事実上、働けなくなったようなケースでも保険金が支払われます。また、生保の保険金は死亡時に一括して支払われますが、収入保障の場合は月々10万円など、年金形式で支払われます。

 ではなぜ、保険料が安いかというと、年々、保険金の受取総額が減っていくためです。

◎飲み会1回の節約で毎月15万円の保障

 例えば、35歳加入、65歳満了の契約で、月々の保険金を15万円に設定した場合、年間の受取保険金額は180万円。仮に契約後すぐに死亡すると180万円×30年間の支払いで計5400万円になりますが、契約から20年後に死亡すると180万円×10年間で計1800万円となります。契約者への支払額が年々減っていくため、保険料を安く設定できるわけです。受取総額が減って損をするようにも思えますが、我が子が幼い時の万が一への備えとしては十分な利用価値があると思います。

 さらに最近では、死亡時は保障しないが、何らかの理由で働けなくなった時のみを保障する「就業不能保険」なる商品も登場しています。死亡時を保障しない分、保険料は一般的な生保や収入保障保険よりもかなり割安。ある大手生保の例で比較してみましょう。

 65歳で満了の就業不能保険を35歳で月々15万円の保険金受領で申し込む場合、保険料は月額約3200円。これは同様の収入保障保険の半額以下となります。だいたい飲み会1回分ぐらいの値段ですね。

 ちなみに、同じ大手生保の35歳契約65歳満了、保険金1000万円の定期タイプの生保に加入する場合、保険料は月額約3700円。仮に、この2つの保険を組み合わせて加入すれば、だいたい飲み会を毎月2回節約するだけで、相当な安心を得られることになります。

 最近はショッピングセンターなどの身近な場所にも、無料で保険の見直し相談に応じてくれる店舗が増えていますので、こうした場所で専門家の意見を聞いてみるのもいいでしょう。

 ただし、各社とも「売りたがる商品」というのがあるので、最終的にはご自身で十分に吟味してください。

女子高生と山田真哉の「5分間会計学」 女子高生と山田真哉の「5分間会計学」

女子高生と山田真哉の「5分間会計学」

『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』

山田真哉

一般財団法人芸能文化会計財団理事長・公認会計士・税理士。160万部突破の『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』ほか著書多数。最新刊『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』(小学館刊、1365円)も5万部突破!