ちょうど1年前の2013年1月、石川遼が発した言葉で、今も忘れられない一言がある。
「間に合わなかった……」
 満を持して本格参戦した米国PGAツアーの初戦「ヒューマナチャレンジ」で予選落ちに終わり、帰路に就こうと車に乗り込む直前、石川は吐き捨てるようにこの言葉を発したのだ。常に前向きな言葉を選ぶ石川だけに、このときは意外に思ったものだ。
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 当時の石川は前年から患っていた腰痛が長引き、年明け早々には病院でMRI検査を受けていた。のちに石川が明らかにしたことによれば、腰だけでなく股関節の左外側が疲労骨折に近い状態にあり、医師からは休養を勧められていたという。
 そんな満身創痍の状態でありながら、腰や股関節に負担をかけないスイング改造に着手し、2週間後のヒューマナチャレンジに照準を間に合わせようとした。しかし、いざアメリカに乗り込むも135位という惨憺たる結果に終わる。ホールアウト直後の取材時こそ気丈夫を装っても、一息ついた時に自然と口に出たのが「間に合わなかった」という偽らざる本心だった。急場しのぎでは米国で戦えないと理解しつつも、無意識のうちに結果を焦る石川がいた。
 この言葉のあと、石川は自身を納得させるようにこう続けた。「新しいスイングを続ければ絶対に良くなるのは分かっているんです。今は練習しかないですね……」
 結局、13年シーズン序盤の石川は、初戦からの3戦連続を含む予選落ちが相次ぎ、序盤の低迷が翌シーズンのシード権取得に苦しんだ最大の要因といえた。
 あれからちょうど1年。14年の初戦「ソニーオープン・イン・ハワイ」(ワイアラエCC)でも、石川は予選落ちに終わった。
 しかし、ゴルフや身体の状態、あるいは精神的な状態も、1年前とは雲泥の差だろう。
後編へつづく
文/柳川悠二
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