バラマキ型政策に息切れ感…。輸出頼みの経済成長に不安

2013年11月18日にタイ国家経済社会開発庁(NESDB)が発表した第3四半期のGDP(国内総生産)は、前期比1・28%増(年率換算5・22%増)と回復基調をたどりました。また、前期(第2四半期)分についても上方修正されています。

思えば、2011年の大洪水で大打撃を受けたタイ経済は、2012年に復興需要や景気対策で見事にV字回復を遂げ、タイの株価指数(SET指数)も、2013年5月に1994年1月以来、19年ぶりの高値をつけました。

ただ、その後は、政策の反動や米国金融緩和の縮小観測による資金流出懸念で、景況感が再び落ち込み、今回のGDPの数字を受けてようやく底打ちが見えてきたという状況です。とはいえ、SET指数は2013年11月22日時点でいまだに年初の水準を下回っており、戻りの鈍さが感じられます。

その背景にあるのは、GDPの中身を見ると、狡貘任舛聾えるんだけどね〜〞感が強いことです。今回のGDPの結果に寄与したのは主に輸出を中心とした外需なのですが、前回分で前年同期比プラスとなっていた個人消費や投資がマイナスに転じたことが大きく響いています。

これまでタイ経済の復調を支えていた消費と投資が足を引っ張る格好となり、復興需要の投資や消費を支える政策が一巡し、先行きが見えにくくなってしまいました。実際に、NESDBは2013年のGDP成長率見通しを9月時点の4%前後から3%前後に大幅に引き下げています。

では、大洪水後に政府がどんな政策を打ってきたかというと、自動車や住宅をはじめて購入する際に補助金を支給したり、最低賃金を大幅に引き上げるなど、いわゆる消費刺激策と、治水事業やインフラ整備などの投資計画などによるバラマキ型の政策です。

たとえば、自動車補助金支給制度は、2012年11月の自動車販売台数の伸びが前年同月比で478%を記録するなど功を奏しましたが、制度終了後はGDPの結果にも表れている通り、大きく落ち込み始めています。

先日、タイでは政権批判が高まったことでデモが発生し、議会の解散総選挙が表明される事態となりました。経済政策の修正局面に入りつつある中で、政治リスクによる景気低迷が心配されます。

土信田雅之(Doshida Masayuki)
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト

新光証券などを経て、2011年10 月より現職。ネット証券随一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。




この記事は「WEBネットマネー2014年2月号」に掲載されたものです。