私の住まいがあるバランガイ・サンアントニオのバランガイキャプテン(区長)の現職はマミー・ゴーで、再選をねらっている【撮影/志賀和民】

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フィリピン在住17年。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営する志賀さんのマニラレポート。2013年版の「男女格差報告」で、フィリピンは世界第5位と大躍進。男女平等どころか、志賀さんが感じるフィリピンは、家の中でも外でも女性上位の国という。

 スイスの世界経済フォーラム(WEF)は2013年版の「男女格差報告」で、フィリピンが世界第5位と発表した。上位4カ国はすべて北欧諸国で、東南アジアの国としてはダントツ。ちなみに日本は136カ国中105位だった。

 このランキングは、男性に比べて女性が差別されていて、その格差が小さい国の順位ということのようだ。しかし世の中、常に男性が上位とは限らない。フィリピンではどう見ても女性上位、女性が世の中や家庭を引っ張っているのではないかと感じる。

女性が世の中や家庭を引っ張るフィリピン

 フィリピンでは、「女だてらに」とか「女のくせに」などという言葉は死語だ。上司が女性であることに男性は何の違和感も示さない。

 マルコス以降、大統領は女性が2.5人、男性が2.5人で拮抗している(エストラーダは任期途中でアロヨに変わったので0.5人、アロヨ は1.5人と数えた)。さらには司法長官、最高裁長官など国の要職の多くも女性が占めている。むしろ「女だからこそ」という言葉が当てはまりそうだ。

 銀行の支店長などはほとんどが女性で、PRA(フィリピン退職者庁)などの役所でも、マネージャーなど半数が女性だ。職場においては男女の区別はまったくない。唯一違いがあるとすれば、女性は60日間のマタニティーリーブ(有給出産休暇)が保障されていることだ。当然、妊娠のための退職という現象は起こらない。

 それでは子育てはどうなるのかということだが、フィリピンではママの親、兄弟姉妹、あるいはメイドやヤヤ(子守)が皆で子育てするから、母親が仕事をあきらめる必要はないのだ。もちろん介護辞職なんてものもない。女性は職場で自由に能力を発揮できる。

 家庭内ではどうなっているのだろうか。ここはまぎれもないかかあ天下で、フィリピンでは例外なく妻が家庭を仕切る。家庭内の仕事は料理は夫、洗濯は妻などと役割分担されているが、決定権は常に妻にある。

 そうなると社会では50:50、家庭内では100:0で女性が有利になる。どちらが上位か、自ずと答えは明らかだ。

 私は1990年代にフィリピンでエンジニアリング子会社の運営を任されており、多くの学生を面接・採用していたが、日本では男の仕事と思われている土木工学(Civil Engineering)でもフィリピンでは学生の半数以上が女性だったのに驚いた。

 機械、電気、建築なども少なからぬ女性がおり、化学工学においては大多数が女性だった。工学系でさえこうだから、文系では女性が圧倒していることは容易に想像される。ちなみにフィリピンの大学進学率は日本と同じく30%を超えるが、女性のほうが若干高い。

 大志をいだく日本女性は、閉塞感のある日本を抜け出して、ぜひフィリピンに渡って思う存分能力を発揮してほしいと思う。

(文・撮影/志賀和民)

著者紹介:志賀和民(しが・かずたみ)
東京出身。東北大学大学院修了後、日揮(株)入社。シンガポールにをかわきりに海外勤務を歴任。1989年日揮関連会社社長に就任しフィリピンに移住。2007年4月PASCO(サロン・デ・パスコ)取締役。