成人式の振り袖といえば、大人になった記念に購入するのが定番というのは過去のこと。いまではほぼ半数がレンタルだ。東北の実家へ帰省して出身地の成人式に出席する大学生に振り袖を購入したのかと聞くと「みんなレンタルですよ」という。

「買ってまで振り袖を用意する人は、私の友だちにはほとんどいないです。レンタルする人ばかりですね。レンタルでも、かなり早めに予約しないと変な柄しか残らないから1年以上前から準備するんです」

 呉服業界関係団体の試算によると2000年当時の成人式で振り袖着用者のうち、購入者が50%だったのが2013年には20%を切り、2015年には17%まで下降するとみられている。一方でレンタル着用率は2000年に30%だったのが2005年に購入着用率を逆転、2015年には55%に増えると見込まれている。

「実際の具体的な数字はわかりませんが、レンタル振り袖が増えていることは実感しています」と話すのは、着物メーカー京朋株式会社の後藤秀平さんだ。

「レンタル業者さんは昔からありましたが、5年ほど前からものすごく増えたなという印象です。それに伴って販売価格も下がっています。10年前は帯など含めて振り袖一式50万〜60万円くらいが相場でした。でも今は、レンタルとの価格差を縮めようと一式30万円くらいが平均です。それでもレンタルを利用される方が今後も増えるのは確実でしょう」

 総務省の調査によると、東京23区の振り袖1枚の価格は2000年11月は40万120円だったのが2013年11月に27万9417円へと大きく下落した。成人式の振り袖着用率の低下とともに販売価格が下がっているのが分かる。

 変化しているのは価格だけではない。人気の色柄も大きく変化していると前出の後藤さんは言う。

「最近は御所車や毬、草花だと桜のような古典柄に回帰しています。歌手の倖田來未さんデザインの振り袖が話題になるなど、モダン柄が流行していた5、6年前は地色が黒や洋服のような赤で柄も洋バラやカサブランカ、蝶などドレス風のものが好まれました。髪飾りも洋風の大きなものやウイッグをつけたギャル風の盛りヘアーが多かったのですが、最近はナチュラルな髪型や日本髪も復活していて、若者が好むスタイルの変化を感じます」

 レンタル利用者の増加とともに、もうひとつの「ママ振り袖」と呼ばれる母が着た昔の振り袖を着る新成人も増加している。近年は3割近くの新成人がママ振り袖を着用していると試算されている。前出の大学生も、友人の多くはレンタルだったが自身は母の振り袖で成人式に出席した。

「お母さん方が振り袖を作られた頃はちょうどバブル期。いいものを持っていらっしゃる方が多いです。振り袖は未婚女性の正装です。成人式だけでなく、もっと何回も着てもらいたいですね」(前出・後藤さん)

 最近は30代になっても振り袖を着る女性も珍しくなくなった。レンタルが普及することで、未婚女性の正装として今よりも幅広く振り袖が着用される未来がくるかもしれない。