1月12日から東京・両国国技館で始まる大相撲初場所。注目は何といっても綱取りに挑む大関・稀勢の里(27)だ。昇進ラインは13勝以上の優勝だが、いまだ優勝経験がないだけに決して低いハードルではない。

 しかし、もしこの障壁をクリアして横綱に駆け上がれば、平成10年の3代目若乃花以来、16年ぶりの日本人横綱誕生となる。それだけにファンの関心も高く、前売り券の売れ行きも上々。稀勢の里もこの年末年始、稽古を休んだのは元旦の1日だけで、暮れは大晦日の31日まで、正月明けも2日にはもう稽古場に降り、「正月気分なんて全然ない。やることは一つ。土俵で頑張るだけだ」と懸命に汗を流していた。

 こんな稀勢の里にとって気掛かりなのは、周囲のゴタゴタだ。昨年末の12月26日、稀勢の里ら12人の所属力士たちは、長年住み慣れた千葉県松戸市から両国国技館に近い旧三保ケ関部屋に引っ越した。その理由は利権争いにある。

 相撲協会は公益財団法人への移行に伴って年寄名跡の一括管理を決定し、親方たちに名跡証書の提出を求めている。ところが、師匠の旧鳴戸親方(元幕内隆の鶴)は証書の所有者である先代親方(元横綱隆の里)夫人との話し合いがつかず、期限がきても提出できない状態が続いていた。このため、25日に急きょ『田子ノ浦』を取得し、部屋も出ることを決めたのだ。
 「先代が平成23年に亡くなって以来、後援会関係をはじめ部屋の利権は先代未亡人が握ったまま。2人の子供たちまでいちいち口を出す始末で、継承した旧鳴戸親方は思うように部屋作りもできない状態が続いていました。これでは稀勢の里の綱取りはおろか、部屋の存続にも関わる。そう思った師匠は先代未亡人と決別する決意を固め、思い切って実行に移したのです。見方によっては一種の謀反ですが、周辺にはスッキリしてよかったという声も多いようです」(担当記者)

 たびたび心の動揺が相撲内容にも表れる稀勢の里。今度こそ、このお家騒動が“災いを転じて福となす”となればいいが。