「現在、世界の10億人以上の人々が、深刻な水不足の状況のもとで暮らしている」こう指摘するのは、書籍『世界がもし100億人になったら』の著者・スティーブン・エモット氏です。不衛生な水しか得られないために、世界では毎日4900人(年間約180万人)もの子どもが命を落としていると報告されています(国連水資源報告書,人間開発報告書より)。重要でありながらも、あまり知られていない問題があります。それは「仮想水(バーチャルウォーター)」の問題です。仮想水とは、食料を輸入している国(消費国)が、その輸入食料を自国で生産した場合、どの程度の水の量が必要になるかを算出した指標。ロンドン大学名誉教授のアンソニー・アラン氏が考案した理論です。例えば、1kgのトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1800リットルの水が必要です。また、牛はトウモロコシなどの穀物を大量に消費しながら育ちます。牛肉1kgを生産するには、その約2万倍もの水量を要します。ハンバーガー1個を作る際に使われる水の量は、約3000リットル。2012年にアメリカで消費されたハンバーガーの数は約140億個なので、およそ42兆リットルの水が使われたことになります。なかなか想像が難しい水量ではないでしょうか。何よりも皮肉だと紹介されているのが、水の容器となるペットボトル。ペットボトル1本を作るためには、4リットルの水が必要です。2012年、イギリスだけで90億本の水のペットボトルが買われ、捨てられました。つまり、ペットボトルを作るために、イギリスだけで360億リットルの水が使われたことになるのです。カロリーベースでみた日本の食料自給率は、わずか40%程度。国外からの輸入に頼っている日本人は、海外の水に依存して生きているといえるでしょう。「日本はバーチャルウォーターの輸入を通じて海外とつながっており、海外での水不足や水質汚濁等の水問題は、日本と無関係ではない」と環境省も指摘をしています。水、そして"仮想水"の問題は、もはや他人事ではないようです。
『世界がもし100億人になったなら』 著者:スティーブン・エモット 出版社:マガジンハウス >>元の記事を見る

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