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みなさま、明けましておめでとうございます。昨年末からスタートしたこの世界遺産コラム、「旅がしたくなった」「世界遺産って面白い!」と思っていただけるような小話を今年も続けていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

さて、今年の干支は午(ウマ)ですね。何事も「うまく行く」とされる縁起の良い干支とされています。今回は新年初のコラムですので、馬にちなんだ世界遺産を紹介していきたいと思います!

○農民・楊さんが「世紀の大発見」

まずは、遺産名に「馬」がつくものを挙げてみましょう。実は、中国の非常に有名な世界遺産であてはまるものがあるのですが、思いつきますか? ヒントは、たくさんの人や馬がずらっと並んでいるところです。

そうです、『始皇帝陵と兵馬俑坑(へいばようこう)』ですね。「兵馬俑」とは、兵士や軍馬をかたどった陶製の像を指します。始皇帝の死後の生活を守るための副葬品として埋められ、2,000年以上も地下で眠っていたものを、1974年に楊さんという農民が井戸掘りをしている最中に発見しました。「世紀の大発見」をした楊さんのその後のストーリーも相当面白いのですが、話を馬に戻します。

馬は騎馬用と戦車隊に分けられます。戦車は4頭1組で一台の戦車を引いていて、御者などの兵士が乗っています。写真を見る時にはそのあたりのディテールにも注目してみてください。兵馬俑にはもともと彩色が施されていました。土の中に広がっていたカラフルな世界を想像すると、古代中国のスケールにぐいぐい引き込まれてしまいませんか?  

○ナポレオン、本土最後の演説の地

もうひとつ、ヨーロッパに場所を移してみましょう。フランス・パリ近郊にある『フォンテーヌブロー宮殿と庭園』です。ここは16世紀にフランソワ1世がフランスで初めて本格的なルネサンス様式の宮殿を建てたところで、美しい宮殿とフォンテーヌブローの自然は歴代の王のお気に入りでした。ナポレオンもこの宮殿をこよなく愛したと言われています。

この宮殿の中庭に面するようにして、馬蹄(ばてい)形の階段が備え付けられています。1814年、失脚したナポレオンはエルバ島に送られる前、この階段前で演説をして近衛兵(このえへい)たちに別れを告げました。筆者もこの地を訪ねた際、堂々とした風格のある階段を上っては、ナポレオンの心中に少しばかり思いをはせてみました。でも、「人間万事塞翁が馬」とか言ったりしますからね……。あ、馬はもういいですか。

そうそう、兵馬俑を発見した楊さんは超有名人となりました。さぞやたくさんの報酬をもらったのかと思いきや、手にしたのはわずか数百円! ウマくいかないものです(……)。それでも「私はただの農民だから」と平常心を失わず、自分の発見に誇りをもって生活していたそうです。現在は兵馬俑博物館の「名誉館長」に任命され、土産屋のすみっこで解説本にサインを書くなどして悠々自適の生活を送っています。よかったよかった!

世界遺産データ1 : 始皇帝陵と兵馬俑坑(文化遺産)
中国。1987年登録。紀元前221年に中国発の統一国家である秦をたてた始皇帝の陵墓と、その東側1.5kmにある兵馬俑坑が登録されています。陵墓の地下には巨大宮殿が存在すると言われ、司馬遷の「史記」には床に水銀を流して川や海をつくっていたという記述があります。

世界遺産データ2 : フォンテーヌブロー宮殿と庭園(文化遺産)
フランス。1981年登録。もともと王の狩猟用の館だったところが、イタリア遠征中にルネサンス美術に魅了されたフランソワ1世によって、ルネサンス様式の宮殿に生まれ変わりました。豪華な内装をもち、「舞踏会の間」「フランソワ1世の回廊」などたくさんの見所があります。

○筆者プロフィール : 本田 陽子(ほんだ ようこ)

「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。
○世界遺産検定とは?

世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。
主催:世界遺産アカデミー
開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)
開催地:全国主要都市
受検料(税込み):3級3,800円、2級4,900円、2・3級併願8,000円、1級9,000円、マイスター1万8,000円
解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)
申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込み
その他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて

(本田陽子)