日本列島がバブルの狂騒に沸いた1989年12月、日経平均株価は史上最高値の3万8957円をつけたが、今の株価水準から考えると、まったく別世界の出来事のように思える。しかし、元ドイツ証券副会長・武者陵司氏は、東京五輪が再び開催される2020年に向けて日経平均株価が4万円を目指す「黄金のシナリオ」が描けていると指摘する。

 すでに米国経済が享受している“株高好循環の波”が、日本にも波及してくるというのだが、どういう意味か。武者氏が解説する。

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 日本の状況だが、2012年末からのアベノミクスによる金融緩和で円高是正がようやく始まり、株価の回復は、まだ正常な状態へのキャッチアップの途中段階だ。

 円安と資産価格上昇により、企業利益は急伸している。2013年4〜6月期の上場企業の連結経常利益は前年同期比で4割増加。特に、非製造業の利益は過去最高水準となった。もし今後、米ドル/円レートが100円程度で推移すれば、製造業でも業績上方修正が見込まれ、2014年3月期には過去最高益を更新する可能性もある。

 資産価格の上昇が経済を好循環させる「株高好循環の波」は、すでに米国が享受している。その波に、今まさに日本も乗ろうとしているのだ。

 現在、米ドル/円相場は1ドル=100円直前で足踏みをしている格好だが、米国景気の拡大とともに円安進行が再開することは間違いないだろう。2014年の平均レートは1ドル=105円、QE(量的金融緩和)が終了する2015年には1ドル=120円に届くと見ている。

 それに伴い、日経平均株価は2014年に2万円、5年後には4万円が視野に入ってくる。その間の日経平均株価の構成銘柄の変更が前提となるが、2020年に開催される東京五輪を待たずして、史上最高値がターゲットになると予想している。

 物色対象となるセクターは、量的金融緩和の恩恵を受ける金融・不動産が一番手だろうが、やはり注目はインターネット関連銘柄だ。ネットとIT、グローバリゼーションによる歴史的な生産性上昇は、産業革命に比肩する出来事と考えている。また、医療、教育関連といったセクターも面白い。

 先に発表されたアベノミクスの成長戦略「第3の矢」について、規制緩和が不十分で期待外れとの評も多いが、中身をどうこういう以前に、すでに「第1の矢」である金融緩和で勝負は決していることを付け加えておきたい。

 日本という国は、いったん方向性が決まると、無類の強さを発揮する。デフレ脱却から景気拡大へ向かうという道筋がはっきりと見えた今、弱気になる要素などどこにもない。

※マネーポスト2014年新春号