投資カレンダーで潮流を読め。1月の主役はジャスダック!?
日本株の動きに多大なる影響を及ぼす機関投資家の行動心理を熟知する大岩川源太さんは、「今回の年末から年明け相場は例年とは異なる動きになるかも?」と指摘。通常のパターンなら、12月は日経平均採用の主力株が強く、年明けには中小型株に資金がシフトしがちだが、果たして今回の新春相場は?

例年なら年が明けると物色の矛先が変わるが…

史上最高値を更新した米国株と比べれば、依然として日本株は割安だと指摘する声がある。だが、日本企業はまだ2014年3月期の予測ベースの数字でしか、リーマン・ショック前の業績を超えていない。おそらく、日経平均がリーマン・ショック前の水準を回復するのは、予測値が実績値として確定する3月末となるのではないか?

だが、その先にはいくつかの不安要素もある。消費税引き上げの影響がそのひとつで、第1四半期の業績が発表される7〜8月の相場は厳しいかもしれない。増税の影響に対する安倍政権の経済対策も曖昧だ。企業業績の伸びを牽引した円安にしても、さすがに2013年度中と比べればインパクトは小さいはずだ。

こうしたことから、注目すべきは年末から年明けにかけての日銀の動きだ。早ければ年末、遅くとも1月か2月の日銀政策決定会合で追加緩和などの可能性について言及したうえで、4月から実際に手を打つというパターンになるのではないか?

それが功を奏せば、5月から相場の流れも変わるはずである。

ともかく、肝心なのは目先の相場展開だろう。カレンダー的には、日経平均が最も上がりやすいのは12月で、ジャスダックが最も上がりやすいのは1月だ。このように、例年ならば年末と年明けで物色の対象がガラリと変わってくる。したがって、今回も定石通りの展開と判断するなら、1月はジャスダック銘柄を狙うべきとの結論に達するわけである。

もっとも、今回に限ってはそのパターンが当てはまらないかもしれない。12 月に入ってからSQ(特別清算指数)まで日数的に余裕があったことから、すでに保有ポジションの整理が先行している可能性が高いからだ。具体的には、12月13日のSQをメドに外国人投資家はポジションを手じまいし、20日以降は一斉にクリスマス休暇に入る。

そして、彼らが退場した後は国内勢だけでもみ合う展開となって、月内最終受渡日(証券優遇税制の打ち切りに伴う節税売りのリミット)となる25日の前日付近で底をつけるだろう。だとすれば、買いのタイミングとしてはここがベストということになる。

一方、例年であれば、外国人投資家が休暇を終えて本格復帰する1月20日ごろから相場が大きく動き始める。だが、2014年に限っては、2013年中に節税の利益確定売りを行なった個人投資家の資金が滞留している可能性もあるし、NISA(少額投資非課税制度)も始まる。

●12月の相場傾向(日経平均が最も上がる月)
日経平均:15勝9敗、62.5%(陽線率)、1位(12月中)
ジャスダック:15勝9敗、62.5%(陽線率)、3位(12月中)
外資系動向:19勝5敗、79.2%(陽線率)、4位(12月中)

●1月の相場傾向(ジャスダックが最も上がる月)
日経平均:10勝14敗、41.7%(陽線率)、9位(12月中)
ジャスダック:18勝6敗、75.0%(陽線率)、1位(12月中)
外資系動向:17勝7敗、70.8%(陽線率)、6位(12月中)

※過去24年間のデータをもとに、各指標の勝敗や陽線率(勝率)、その率の12カ月中の順位を掲載。「日経平均」と「ジャスダック」は陽線の月を勝ち、陰線の月を負けとして集計。「外資系動向」は、外国人投資家が買い越した月を勝ち、売り越した月を負けとして集計。

主導権を握る投資家の動きのリズムを意識せよ

もしも年末に主力株が人気化していて、年明けの早い段階から相場が動き始めたとしたら、その勢いが持続することも考えられる。ただし、アベノミクス相場に突入したばかりの前回の年末年始はあらゆる銘柄が上昇したが、今回は物色に差が出てくることに留意しておくべきだろう。また、外国人投資家が動き始める1月20日以降は物色対象が変わる可能性が高い。

このようにいくつかのシナリオが考えられるが、どういった道筋をたどろうともマーケットから注目を浴びやすい銘柄に目をつけておけばいい。下記の10銘柄がその例で、多くはニッチなビジネスを展開していたり、独自の強みを有していたりする企業だ。国が成長戦略としてカネを投じると言っているにもかかわらず、ここ最近、株価が安くなっているバイオ関連で比較的安心して手を出せる銘柄も外せない。また、主力株からも話題性のあるものを選んだ。

仕込んだ後は、冒頭で振れたようなイベントを意識しながら、今後1年間の相場を冷静に展望することだ。その際には、マーケットにおいて誰が主役となっているのかを念頭に置くことが肝心。主導権を握っている投資家がどういったリズムで動いているのかを把握しておくべきだろう。

日経平均なら、ヘッジファンドの決算(5月と11月)、年金型ファンドの決算(6月と12月)、国内金融機関の決算(3月と9月)を意識した展開となりがちだ。特に今回は消費税増税以降の行方が不透明だから、外資系のファンドにまとまった解約が入るかもしれない。解約は45日前に申し出るのがルールで、それに対応した売りが2月ごろから入ってくる可能性が考えられる。

金融機関は毎月20日をメドに手じまってくるという特性も知っておくといい。仮に「節分天井」を意識して2月に仕掛けたカラ売りが失敗したなら、3月20日に向けて買い戻しが入りやすい。つまり、「彼岸底ならぬ、彼岸天井」になってしまう可能性もある。

大岩川源太さんの注目10銘柄

ペプチドリーム(東証マザーズ・4587)
1万2960円(100株)
PER:392.0倍
PBR:30.43倍
配当利回り:―
大手医薬品メーカーと新薬の共同開発を進める創薬ベンチャー。特殊ペプチドに強みを有しているうえ、大手と組んでいる点に安心感がある。

エリアクエスト(東証マザーズ・8912)
125円(100株)
PER:41.9倍
PBR:5.29倍
配当利回り:―
老朽化した商業ビルをオーナーに代わって改装し、テナントを招致して再生するという、ニッチなビジネスを首都圏中心に展開している。

オークファン(東証マザーズ・3674)
2989円(100株)
PER:113.2倍
PBR:18.78倍
配当利回り:―
ネットオークションで取引される中古品の実売価格を比較するサイトを運営。オンリーワンのビジネスと膨大なデータが強み。

日建工学(東証2部・9767)
198円(1000株)
PER:10.5倍
PBR:1.91倍
配当利回り:3.03%
消波ブロックや土木シート、景観・環境事業を手がけ、官公庁とのパイプが太い。特許も多数獲得しており、技術力の高さに定評。

パナソニック(東証1部・6752)
1187円(100株)
PER:29.1倍
PBR:1.98倍
配当利回り:0.84%
総合家電の大手で、薄型テレビの不振に苦しんできたが、冬季五輪やサッカーW杯などの世界的なスポーツイベントが業績の追い風に。

ソニー(東証1部・6758)
1862円(100株)
PER:64.4倍
PBR:0.85倍
配当利回り:1.34%
相変わらずエレクトロニクスを取り巻く環境は厳しいが、有料老人ホーム運営会社子会社化で介護ビジネスに進出。金融事業も好調。

みずほフィナンシャルグループ(東証1部・8411)
214円(100株)
PER:8.7倍
PBR:0.82倍
配当利回り:2.80%
異次元の金融緩和や景気の回復はメガバンクの業績にとって追い風だが、暴力団への融資問題で株価は横ばい。

SBIホールディングス(東証1部・8473)
1508円(100株)
PER:11.2倍
PBR:1.05倍
配当利回り:0.66%
ネット証券から銀行、保険、不動産、ベンチャーキャピタルまで、総合金融ビジネスを多角展開。いずれの部門でも販売力の強さが光る。

日本海洋掘削(東証1部・1606)
6420円(100株)
PER:13.7倍
PBR:2.12倍
配当利回り:0.38%
原油・天然ガスの試掘や生産井掘削などを手がける。次世代エネルギーのひとつであるメタンハイドレート関連としても注目される銘柄だ。

地盤ネット(東証マザーズ・6072)
1388円(100株)
PER:75.5倍
PBR:31.53倍
配当利回り:0.28%
地盤改良施工業者や家主とは別に、第三者の立場から独自の地盤解析調査を行なうサービスを展開して競合他社と差別化を図っている。

※株価は2013年12月9日現在。PER(株価収益率)と配当利回りは予想、PBR(株価純資産倍率)は実績。

相場格言では、「午尻下がり」

新年の干支である午(うま)年は、残念ながら相場が荒れ模様となる傾向が強い。相場格言では「午尻下がり」と表現され、パフォーマンスは十二支中で11位。「辰巳天井」ともいわれるので、アベノミクスに沸いた2013年(巳年)で相場はピークアウト!?

実際、1989年の巳年にも日経平均が史上最高値をつけ、その後にバブルの崩壊が待ち受けていた。特に1990年の午年は、歴史に残るすさまじい下落率を記録している。

もっとも、「千里を走り……」と詠まれる寅年がワーストという矛盾もあり、格言に全幅の信頼は寄せられない。しかも、過去を振り返ると寅年の景気がボトムであるのに対し、午年は底入れ後であるケースが多い。果たして、来る午年の相場の行方は?

大岩川源太(GENTA OHIWAGAWA)
株式・投資評論家

国内証券会社勤務の経験から機関投資家の行動心理を分析、独自の観測手法を確立し、それをもとに毎年『投資カレンダー』(徳間書店)を出版している。2013年発売の『投資カレンダー2014』は早くも売り切れ書店続出。



この記事は「WEBネットマネー2014年2月号」に掲載されたものです。