レスリー・キーが撮りおろした写真集。表紙はケニー・オメガ(左)と飯伏幸太

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 最近、プロレス会場に若い女性客が増えているという。最大手の新日本プロレスと並んでプロレス界を盛り上げ、女性客急増に貢献しているDDTプロレスリングの高木三四郎社長に、女性客がプロレスにのぞんでいるもの、そしてエンターテインメントショービジネスとしてのプロレスの可能性について聞いた。

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――客席の男女比や年齢層は変わってきているのでしょうか?

高木三四郎(以下、高木):お客さんの男女比は半分ずつですが、20代女性のお客さんがとくに増えたなと実感します。選手では飯伏幸太、ケニー・オメガ、HARASHIMAの人気が高いですね。若いイケメンのレスラーだけが出場する女性客限定の『BOYZ』という興行を12月に開催したのですが、女性だけの空間になると声援というか歓声というか、叫び声のボリュームがすごいんです。

 僕のようなおじさんレスラーは出られないので、プロデューサーとして柱の陰から見ていました(笑)。興行の最初にスーツ姿での選手入場式をしたら、それだけで「キャーッ」という声が客席全体からあがるんです。お客さんの反応がよいから選手はノリノリでしたよ。プロレスで、女性だけで会場を埋められる団体はDDTくらいじゃないかと思います。

――若い女性はプロレスラーのどんなところに魅力を感じているのでしょうか?

高木:ネットなどをリサーチしていて思うのですが、いま再び、肉食系男子がモテているんじゃないかなと思うんです。草食系男子がもてはやされていたときは、がっちりした体格のプロレスラーは、イケメンであったとしても一般的な女性人気を集めるのが難しかった。でも今は、鍛えている男性に憧れたり、かっこいいと思う女性が多くなっているように感じています。いま、一番売れ行きが良いグッズはヌード写真集なんですよ。

――男性レスラーのヌード写真集ですか?

高木:もちろん男性プロレスラーのヌード写真集です。

 写真家のレスリー・キーさんに撮り下ろしてもらったレスラーのヌード写真集を8月に出したところ、飛ぶように売れています。撮影風景を使用した30秒ほどの映像で6月の後楽園ホール大会のときに発売を告知したのですが、女性の悲鳴がすごかった。盛り上がりは会場だけにとどまらず、Twitterでものすごい勢いで拡散されていきました。

――DDTでは選手のTwitterには運用基準があるのでしょうか?

高木:Twitterでどう受け答えするか、ファンへのリプライも含めて選手にまかせています。AKB48は「会いに行けるアイドル」で身近さがセールスポイントだった。偶然ですが、16年前のDDT発足当初から僕たちも身近さがセールスポイントです。

 プロレスラーというのは、アントニオ猪木さんやジャイアント馬場さんのように昔は雲の上の存在だった。人間離れしたとても身体が大きな人も多かった。でも最近は平均身長も175センチぐらいで小型化しています。今は身近な存在が容認される時代ですし、距離の近さをアピールした方がよいのではないかと判断しているんです。だから、DDTは選手全員にTwitterを自由にやってもらっています。

 プロレスはキャラクタービジネスです。個性豊かなキャラクターがリング上で戦う場所がプロレスです。もちろん、強さや弱さ、試合の勝敗を楽しむものなのですが、それだけでは面白さを測れないのが魅力であり良いところでもあります。

――プロレスラーとしての適性は、どのような基準で判断されているのですか?

高木:DDTでの採用についてはキャラクターと運動神経をみますが、スクワットを何回できるかというような体力テストはしません。たとえば、反復横跳びを1分間やらせて反射神経を確かめます。努力しても、なかなか変わらない部分ですからね。

 そして、リング上でなんでも得意なことをひとつやってもらいます。カマキリの物まねをした人もいれば、とんぼ返りを何往復もして運動神経の良さをアピールした人もいます。ここでどんなことをするかで人となりがわかります。

――昔の漫画でみたような、薄暗いイメージとはかけ離れていますね。

高木:いまのプロレスはとにかく明るいですよ。コスチュームも黄緑やオレンジなど、蛍光色を使った明るいものが増えています。DDTではなるべくリング上が明るくなるように照明も工夫しています。

 基本的にベビーフェイス(善玉)とヒール(悪玉)がいる構図は変わりません。違うところといえば、何らかの形で多幸感、ハッピーエンドな感じを出すようにしています。昔は、後味が悪い終わり方をしてもテレビ番組で行く末を追える安心感がありましたが、DDTには毎週放送される地上波テレビ番組がありませんから。

――プロレスを見ていた人たちが離れていった理由のひとつに、ずっと見続けていないと分からなくなってしまうこともあげられると思います。

高木:もともとDDTは『戦う連続ドラマ』と呼ばれていました。でも、会場で集めるアンケートやネットでの声をきくと『一回見なくなったら、もう分からないよね』というものが多かった。お客さんを逃していますよね。だったら、その都度ごとに凝縮したほうがよいと考えて一話完結的な興行を多くしています。最近のドラマにも一話だけでも楽しめるものが多いと思いませんか。エンターテインメントとしてはプロレスも同じです。

――プロレスはショービジネスとして、まだ広がる可能性が大きいのでしょうか?

高木:EXILEのように誰が見てもかっこよくて「俺もあの舞台に立ちたい」と思わせるような存在にならないと。もっと総合的なエンターテインメントとしての楽しみ方ができるはずだし、若い世代がどこまでスターになるかでプロレス界全体が変わってきますよ。DDTでいえば飯伏、新日本プロレスだと、まだ26歳と若いオカダカズチカ君の成長が楽しみです。

●高木三四郎(たかぎ さんしろう):1970年生まれ。大阪府出身。株式会社DDTプロレスリング代表取締役社長で現役プロレスラー。1995年デビュー、1997年DDTプロレスリング旗揚げに参加、2006年より現職。「文化系プロレス」と形容される、従来のプロレス概念を打ち破るエンターテインメントを表現し続けるプロデューサーでもある。DDTプロレスは1月26日に後楽園ホール大会「Sweet Dreams! 2014」を開催。