かつては、トップ5社がしのぎを削っていた世界の自動車業界。しかし、業界再編の流れを受け、その覇権争いの行方は「ビッグ2」に絞られました。1つは、日本最大の企業で、ものづくりの盟主。2012年度の世界自動車販売台数で、2年ぶりに1位の座に返り咲いたトヨタ自動車です。独自のトヨタ式生産方式で、四半世紀にわたって業界トップの座に君臨してきました。そしてもう1つが、フォルクスワーゲン、アウディ、セアト、ランボルギーニなどのブランドを擁するドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループです。経営システム、思想、文化、技術が異なるトヨタとVW。しかし、両社の戦略的方向性や成長シナリオを深堀りすれば、2020年には2社が激しく世界でのトップ争いをしながら、様々な市場や技術で大激突する構図が見えてきます。自動車アナリストの中西孝樹氏が、両社の戦略と成長シナリオを分析し、成功する経営システムや真の競争力の秘密を探ったのが、書籍『トヨタ対VW(フォルクスワーゲン) 2020年の覇者をめざす最強企業』です。VWグループの成功要因は、ものづくりやひとづくりを重視する日本とは異なるドイツ的な経営システムやビジネス戦略。M&A、マルチブランド、プラットフォームの戦略を三位一体で構築しつつ、マーケティング、デザイン、ブランドなどのソフト面の管理能力で製品をコントロールしています。世界的市場が変容を遂げる中、両社が力を入れるのがプレミアムブランドです。ブランド価値の世界的な下方シフトが進展するなか、VWが擁する高級車ブランド・アウディは、グループの収益の半分以上を稼ぎだしています。トヨタが力を注ぐのは、1989年にアメリカでスタートさせたプレミアムブランド・レクサスです。高い品質とコストパフォーマンスを実現したレクサスは、非常に短期間でブランドとしての地位を確立しました。アメリカの有力経済誌「ビジネスウィーク」のチェスター・ドーソン氏が、自著『レクサス』にて「ライバルがひしめく業界で、これほどの成功をこれほど早く成し遂げたブランドはめったにない。レクサスの名が辞書に載るのも時間の問題。人類が作りだした最も完全に近い自動車という定義で」と語るほどです。トヨタの創業者一族出身である豊田章男社長は、2011年に公表したグローバルビジョンのなかで、「日本発『真のグローバルプレミアムブランドの』確立」を目指すと表明。今後は「商品」と「物語」を重視し、自社の高級車ブランド・レクサスを世界的なプレミアムブランドへ成長させることを宣言しました。2012年6月には、豊田章男社長自らが指揮を取り、レクサス・インターナショナルをバーチャル社内カンパニーに組織変更。開発、デザイン、営業、ブランドマネジメントを整理し、トヨタ本体の経営判断から独立した意思決定ができる組織へと改革。アウディをはじめとする、世界のプレミアムブランドに立ち向かいます。買収と投資でトップを目指すVWか、ものづくりと人づくりで世界を攻めるトヨタか。自動車2強時代を制するのは、果たしてどちらの企業なのでしょうか。
『トヨタ対VW(フォルクスワーゲン) 2020年の覇者をめざす最強企業』 著者:中西 孝樹 出版社:日本経済新聞出版社 >>元の記事を見る

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