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名古屋の味噌煮込みうどんと、名古屋風カレーうどんの2つの業界に、新たな動きが出ている。この2大名物の合体ともいえる「カレー煮込み」なる新メニューが、着々と市民権を得つつあるのだ。

○味噌煮込み同様、麺はゴワゴワ

「カレー煮込みのプロジェクトは、私の所属する愛知県麺業青年会が2年前に立ち上げたものなんです」。そう説明してくれたのは、うどん店「勝美屋」店主の菰田好典さんだ。業界の若手らが新しい名古屋メシを作ろうと研究を重ね、愛知県麺類食堂生活衛生同業組合も巻き込んで、30店舗ほどのうどん店がプロジェクトに加盟。2011年から、それぞれの店で独自のカレー煮込みを提供している。

分かりづらいのはその違いだろう。「一体何が違うの? カレーうどんの器が丼から土鍋に変わっただけじゃない?」当然そんな疑問を感じる人も多いだろう。しかしこれが全く違うのだ。麺からして異なることはあまり知られていない。カレーうどんの麺は、もっちりした普通のうどん麺。対して味噌煮込みの麺は、ほとんど生のゴワゴワとした麺なのである。カレー煮込みにも、当然、その麺が使われている。

○トマトも一緒に煮込んだヘルシーカレー

「勝美屋」はもともと名古屋風カレーうどんで定評のある店。同店が提供する「カレー煮込み」は850円で、自慢のカレールーを「煮込み」にアレンジしたもの。しかし、そのままだと煮込みの麺が水分を吸ってしまうので、トマトも一緒に煮込んだという。トマトの水分で、ちょうど良い案配になったというのだ。

スープを口に入れてみよう。名古屋風カレーうどんならではの、どろっとした重厚さがある。鶏ガラと和風だしのうまみが先に来て、後から酸味と辛みが追いかけてくる。ゴワゴワ麺がスープに絡みついて一気にすすると火傷(やけど)しそうな熱さ。でも、つゆの重さも麺の硬さも丁度よく、クセになりそうな味わい。

もうひとつの特徴が野菜の多さだ。ブロッコリーなど季節の緑野菜が見た目にも映え、干し大根のコリコリした食感も楽しい。「女性に気に入っていただけるようヘルシーにしてみたんです。おかげさまで好評ですよ」とは店主のコメント。

他の加盟店でもカレー煮込みの認知度は高まってきているらしい。「2年かけてやっとカレー煮込みが定着しつつあります」そう菰田さんは微笑(ほほえ)む。

●infomation
手打ちうどん・そば 勝美屋
名古屋市東区代官町33-8

○味噌煮込みの名店「山本屋本店」からの挑戦

名古屋のカレー煮込みが面白いのは、全く別のアプローチからの流れもあるということだ。そのひとつが、味噌煮込み専門店からの挑戦である。2013年4月に味噌煮込みの代名詞ともいえる「山本屋本店」が、名古屋大須にカレー煮込み専門店をオープンさせたのだ。店名は「鯱市(しゃちいち)」という。

店内はまるでショットバーのような作りで、何とカウンターのみというから食事処としては異色だ。「味噌煮込みは年配の食べ物というイメージがあり、若者には敷居が高かったんです。若者層に受け入れてもらえるように工夫しました」というのは、山本屋本店企画室の永田剛典さん。立ち上げから出店まで数年を費やし、若手スタッフを中心に開発を進めたというその味は、専門店プロデュースだけあって天下一品。味噌煮込みとカレーが見事に融合している。

シンプルな「カレー煮込うどん」は750円だが、今回は「チキンカレー煮込うどん」(950円)をチョイス。グツグツと沸騰したつゆは名古屋風カレーうどんとは違ってトロみはほとんどない。しかし、スパイスの複雑な味わいと、炒めタマネギの程よい甘さが絶妙なバランスだ。麺は味噌煮込みそのままの極太。素直に文句無しの仕上がりなのである。ちなみに、辛さを自由にチョイスできるのもポイントが高いぞ!

●infomation
カレー煮込うどん 鯱市
名古屋市中区大須3-30-4

○インドカレー専門店「えいこく屋」とのコラボ

最後に紹介したいのは、いわば独立進化系。そもそもカレー煮込み自体は、味噌煮込みのバリエーションのひとつとしてマイナーながら昔から存在していた。それが店ごとにこだわりのメニューとして進化しているのだが、そのひとつが、「角千」の「えいこく屋カレー煮込みうどん」(750円)だ。

この店のカレー煮込みは、名古屋の有名なインドカレー専門店「えいこく屋」のインド直送スパイスを使ったコラボレーションメニュー。つゆはサラサラっとしたスープタイプで、和風味の中にひそむエスニックな風味が刺激的だ。麺は中太でゴワゴワ。でも食べやすい。もちろんつゆは最後の一滴まで。「辛いだろ。でも、これがうみゃあんだわ」と店主の加古守さんはニヤリと笑う。

●infomation
角千 本店
名古屋市北区西味鋺5-106

全国的にはカレーラーメンがブームの兆しというが、その一方で、名古屋では独自のブームが起きている。カレー煮込みが「新・名古屋めし」の称号を勝ち取る日もそう遠くないだろう。

(OFFICE-SANGA)