大阪の冬の風物詩となっている"花園"こと「全国高校ラグビーフットボール大会」が近鉄花園ラグビー場(東大阪市)にて12月27日から1月7日にかけて行なわれる。一昨年度(2011年度)は東福岡(福岡)が3連覇を果たし、昨年度(2012年度)は常翔学園(大阪)が御所実(奈良)を17−14で下して優勝している。

 そして今年度の花園をひと言で表現すれば、「群雄割拠」だろう。有力校の実力が拮抗し、優勝予想が難しい大会となっている。

 毎年、花園を占うひとつの指標となっている春の選抜大会。今年は大阪同士の決勝となり、大阪桐蔭が東海大仰星を破って初優勝を遂げた。しかもベスト4には常翔学園、大阪朝鮮が入り、「大阪強し」を印象付けた。だが、昨年度の優勝校である常翔学園は大阪府予選で敗退。また、昨年度の準優勝校であり今年春の近畿大会でも準優勝を飾った御所実もライバルの天理に敗れ、花園出場を逃した。さらに、前回大会4強の国学院久我山も東京第2地区決勝で東京高校に敗れた。

 昨年度の花園ベスト4のうち3チームが出場できない中、今年度のAシードに選出されたのは大阪桐蔭と東海大仰星の選抜大会ファイナリスト2校と、3大会ぶりの全国制覇を狙う神奈川の雄・桐蔭学園の計3校。

 なかでも注目は、春の選抜大会に続き二冠をうかがう大阪桐蔭だ。LO中村大志、NO8吉田杏(よしだ・きょう)らのフォワードは力強く、バックスも主将のSO喜連航平(きれ・こうへい)、FBの岡田優輝を中心にスピードがあり、ボールを展開する能力にも長(た)けている。初のAシードで注目が集まる中、どこまで力を発揮できるのか楽しみだ。

 一方、選抜大会準優勝の東海大仰星だが、春の近畿大会では大阪桐蔭に勝利して優勝するなど実力は互角。NO8の野中翔平、SOの山田一平、FBの野口竜司の3人は1年の時に花園の決勝の舞台を踏んでおり経験は豊富。しかも、昨年度の花園出場を逃しただけに最終学年となった今年は期するものがある。

 もうひとつのAシード校・桐蔭学園は、選抜大会の準々決勝で東海大仰星に26−33と惜敗したが、PRの堀越康介、SOの横山陽介をはじめ、高校日本代表候補8人を擁するなど能力の高い選手が揃う。初優勝した2010年度は東福岡と引き分け同時優勝だっただけに、今回、初の単独優勝を狙う。

 またBシードには、東福岡、長崎南山(長崎)、大阪朝鮮、天理、報徳学園(兵庫)の西の5校と、秋田工(秋田)、茗渓学園(茨城)、流通経済大柏(千葉)、目黒学院(東京)、日川(山梨)の東の5校が名を連ねた。

 2011年度に史上5校目の花園3連覇を達成した東福岡は、今年度の九州大会を制するなど着実にチーム力をアップさせており、花園での復権を目指す。また、フィジカルの強さを武器に選抜大会ベスト4の大阪朝鮮、U19代表&日本代表合宿にも参加している超高校級CTBの梶村祐介を擁する報徳学園、昨年度の準優勝校・御所実を破って出場する天理の実力も侮れない。

 東のBシードは、トンガ人留学生ふたりを擁して22年ぶりに花園に出場する目黒学院、19年連続で花園出場を果たした流通経済大柏、4年前に第1回全国中学ラグビー大会で優勝した秋田北中のメンバーが揃う秋田工なども、虎視眈々と上位進出を狙う。

 そして今大会のもうひとつの注目が、ノーシード校がシード校を破る「シードバック」が起きるのかということだ。

 その筆頭が、京都代表の桂高校。花園で過去4度の優勝を誇る伏見工や、2008年度、2009年度ベスト4の京都成章を抑えて初出場を果たした実力を持ち、「隠れシード校」として注目を集めている。主将でNO8の小針竜太郎、杉本修尋監督の次男でSOの杉本頼亮、藤田真弥と林啓造の両FL、CTB清水駿は中学時代に京都府選抜チームに選ばれ、全国ジュニア大会で優勝するなど実績のある選手が揃う。初戦で岡谷工(長野)と対戦し勝利すれば、2回戦でAシードの桐蔭学園と対決する。

 この他、脚光を浴びているのが、公立高校として東大合格者ナンバーワンを誇り、54年ぶりの出場を果たした浦和(埼玉)だ。同校OBで筑波大ラグビー部出身の小林剛監督がフォワードのモールとタックルを中心に鍛え上げ、チーム力を強化。過去6年間で5度、決勝で敗れている深谷を破り、花園の切符を手に入れた。前回出場した時は近鉄花園ラグビー場ではなく西宮球技場での開催だったため、同校として「初の花園」となる。夢にまで見た花園で悲願の全国初勝利なるか注目だ。

 シード校が順当に勝ち上がるのか、それともノーシード校が躍進するのか。最後に、優勝旗である「飛球の旗」を掲げるチームはどこなのか、楽しみは尽きない。

斉藤健仁●文 text by Saito Kenji