インドネシア 経常赤字、高インフレ、成長力ダウン…懸念材料多し
来年の大統領選挙を前に現政権のやる気もいまいちナシ…!?

議会のゴタゴタの末に目先のデフォルト(債務不履行)を回避した米国。与野党で合意された内容は「結局、問題の先送りじゃん」とのツッコミは否めませんが、逆にその不透明感が米国の量的金融緩和の継続観測となり、資金流出懸念で苦しんだ一部の新興国にとってはひとまず一息ついた格好です。

量的金融緩和の縮小懸念が浮上したのは今年の5月下旬ですが、そのときに売りのターゲットとされたのが、インドやブラジル、そしてインドネシアなどでした。

これらの国に共通しているのは、「経常赤字国」であることと、「物価上昇率(インフレ率)が高め」であることです。

とりわけ、インドネシアのトリプル安(株安・通貨安・債券安)が目立ちましたが、2012年の同国の経常収支は対GDP(国内総生産)比でマイナス2・8%でした。また、同じく9月消費者物価の上昇率は8・4%となるなど、かなりの高水準が続いています。しかも、政策金利が7・25%(10月8日時点)であるため、実質金利で見るとマイナスとなり、このことからも資金が流出しやすくなっているのです。

この状態のまま放っておくと、「資金流出→通貨安→輸入物価上昇→さらにインフレ加速」という悪循環に陥るため、政策金利の引き上げ(利上げ)などの対処が必要となります。

実際に、インドネシアは今年に入り、利上げを繰り返していますが、その一方で、利上げによる景気への悪影響も心配されます。インドネシアの第2四半期(4〜6月)実質GDP成長率は前年比5・81%と、2010年以来の6%割れとなっています。

しかも、インドネシアでは、来年の2014年に大統領選挙を控えています。現政権(ユドヨノ大統領)に対する支持率が低下していることに加え、3期目の大統領選挙への出馬が憲法で禁止されているので、微妙にやる気のない状態(レームダック化)となっていることも、インドネシア経済の再浮上の重しとなりそうです。

再び米国の量的緩和縮小が相場のテーマとなる場面が訪れる可能性は高いですが、状況が落ち着いている今のうちに、国内産業の育成や経済の構造改革を推し進めていくことが、インドネシアの課題といえるでしょう。

土信田雅之
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト

新光証券などを経て、2011年10月より現職。ネット証券随一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。



この記事は「WEBネットマネー2014年1月号」に掲載されたものです。