『累-かさね-』第1巻(講談社/松浦だるま)。

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 有名人になると、一挙手一投足がファンに注目されるのは宿命。マンガ家でも、何かあれば多くのファンからお祝いや応援のメッセージを送られる人は多い。そんな中で今ひときわ異彩を放っているのが、新鋭作家・松浦だるまだ。

 松浦だるまは、現在「イブニング」にて『累-かさね-』(講談社)という作品を連載中の作家。同作は初連載作ながら、「オトナファミ」(KADOKAWA)2014年2月号の「全国3000店の書店員と選んだコレ読んで漫画RANKING2013 BEST50」で第10位にランクインするなど、注目を集めている。

 作品自体は伝説的美人女優の娘でありながら、醜悪な容姿をもって生まれた少女・累(かさね)の苛烈で数奇な人生を描くシリアスなものなのだが、そうした作風や作品内容とは対照的に、ツイッター上では今、松浦だるまはなぜか稀代の愛されキャラになっている。

 発端は、今年10月、『累-かさね-』の単行本第1巻が刊行された際にユーザーがつくったハッシュタグ。「#祝_累単行本化_松浦だるま先生にお祝いのメッセージを送ろう」という、非常にめでたいハッシュタグだったのだが、まじめなお祝いメッセージに混じって、水揚げされるUMAやおっさんくさいコアラの彫像など、「お祝い」を口実にネタ画像をアップする祭りに発展した。

 この流れはその後定番化。12月には「#風邪をひいた松浦だるま先生に応援メッセージを」「#松浦だるま先生オトナファミ2013年漫画ランキング10位おめでとうございます」などのハッシュタグが生まれ、やはり応援や祝福とは無関係な"画像フォルダのゴミ"とでもいうべき写真が大量にアップされている。

 そしてついには、松浦だるまが洗濯機の購入を報告しただけで「#松浦だるま先生洗濯機購入おめでとうございます」というハッシュタグが誕生。もはや口実さえあればなんでもいいというレベルに達しつつあるが、洗濯機購入ハッシュタグでは、『怪盗ルパン伝アバンチュリエ』(小学館クリエイティブ)の作者・森田崇も参加するなど、ツイッター上での反響は着実に大きくなってきている。

 あまりに作品と無関係な祭りの乱発で、さすがに松浦だるまが誤解されるという懸念が広がったのか、その後「#松浦だるまさんを紹介しよう」というハッシュタグがつくられたのだが、結局いつも通り、おもしろゴミ画像の墓場に。ますます何者なのかわからない状態になっている。

『累-かさね-』は、ツイッター上でマンガ家・ゆうきまさみも絶賛しているなど、間違いなく今年の注目作のひとつ。しかし、松浦だるまという人物自体も、作品とは別の意味で存在感を増しているといえそうだ。

 なお、当然だが、ハッシュタグでの画像アップ祭りはファンの愛あってこそのもの。本当に迷惑になってしまうようなものを送りつけるのは控えよう。
(文/ネルヤ編集部)