前半ではゴスペラーズのリーダー、村上てつやさんに、普段の読書スタイルや本を読むきっかけを伺いましたが、後半では、本と音楽との関係について話を聞いてみました。高校生のときに読んだ村上龍さんの「69 sixty nine」には、ロックやジャズとか音楽的な固有名詞がたくさんでてくるんですね。たとえば、ローリング・スローンズとかジョン・コルトレーンとか出てくるので、実際にその音楽を聴いてみるんですけど、村上龍さんがその本で描くローリング・ストーンズの音楽の方がキラキラと輝いていて実際よりかっこいいんですよね(笑)。『Lady Jane』のイントロとか。スーパーなグループのストーンズが村上龍さんの本に負けてるぞ、みたいなね(笑)。そういう体験をしたのは初めてだったかもしれなくて、ものすごく衝撃を受けましたね。音楽を文字にするっていうか、一言で言うんですよね。ジョン・コルトレーンの吹くブタの鳴き声のようなバラッド......とか。それで聴き直すんですけど、どうしても俺にはブタの鳴き声には聴こえねぇって(笑)。じゃあ、ジョン・コルトレーンがブタの鳴き声なら、ほかのスペシャルなサックスプレイヤーのソニー・ロリンズはどんな音を出すの? って、どんどん聴き直してみたり。そんな風にして高1か高2だった村上少年に突き刺さってきた小説でしたね。音楽に関する本もよく読まれるんですか?音楽の本も結構読むんですけど、アーティスト本だったらマーヴィン・ゲイの本とか。実際どれだけ彼と彼の父親との関係に悩まされていたりとか、そういったことっていうのは、なかなか作品の歌詞からは読み取れないことで。それを理解したら、彼の歌がよく聴こえるっていうのは変な気もするんですけど、そういうリアルな生活を知ることで、改めて作品を聴くとおもしろいっていうのはありますよね。あと、意外に好きなのがレコード会社のヒストリー本ですね。たとえばスタックス・レコード、モータウン・レコード、アトランティック・レコードの本とか。アーティストのインタビューを交えた本だと、スタジオの中の何気ない会話が音楽を作っていったことが分かったり、自分たちのやっている音楽がブラックミュージックを日本語で追求しているというのもありますが、黒人音楽がどのようにして白人やレコード会社、メディアなどに関わって世の中に広まっていったかって話は読んでいて非常におもしろいですね。昔と今で読書スタイルや好みに変化はありましたか?昔は小説が好きで、今も好きなんですけど、ノンフィクションもの社会学の本を読むのが今は楽しいモードですね。単純にノンフィクションとか新書とかだと知らないことが書いてあるからってこともあるし。小説ってどこかで、自分の仕事にダイレクトに結びつけてしまうところがあるじゃないですか。言葉の言い回しとか。自分は音楽をやっているから仕事の延長として見てしまうことがあって、映画とかもそうなんですけど、そういう意味で別の意味でちょっと疲れる部分があるんですよね。ノンフィクションや新書は、その意味の疲れがないので、一番リフレッシュできる部分なのかもしれないですね。《プロフィール》村上てつや(むらかみ・てつや)1971年生まれ。大阪府出身。1994年に男性ヴォーカルグループ「ゴスペラーズ」としてメジャーデビューし、同グループのリーダーを務める。2013年9月25日には、初となるカバーアルバム「ハモ騒動〜The Gospellers Covers〜」をリリース。現在、全国ツアー開催中。公式HP http://www.5studio.net/
『ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ: わがソニー・ピクチャーズ再生記』 著者:野副 正行 出版社:新潮社 >>元の記事を見る

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