ここで小平のプロフィールについて触れておこう。小平は、今年6月に行われた国内メジャー第2戦、日本ツアー選手権で通算14アンダーで逃げ切り、ツアー初優勝を果たした。

 ゴルフ記者が言う。

「初勝利をメジャー大会であげたのは、1973年のツアー制度施行後では18人目です。父親に手ほどきを受け、10歳からゴルフを始めた。日大に進み、日本アマ2位を獲得するなど活躍したが、3年前に中退してプロ入りした。よく飛ぶうえ、曲がらない。ショットには定評がある選手です」

 172センチ73キロ。オフには7キロ、試合の前にも4〜5キロを走って下半身を強化。80キロ近かった体重を7キロ余りしぼり、ショットの安定性に結び付けたという。

 このメジャー優勝で3000万円を獲得。小平は賞金ランキング2位に浮上し、7月の全英オープンにも出場した。結局、今年の賞金ランキングは12位だったが「将来、松山英樹の好敵手になるかもしれない」との下馬評もあるくらいだ。

 長内さんはそんな小平に関する報道記事も見ていただけに、目の前の傲慢不遜な小平の姿に驚愕した。

「ホテルに到着した時のメーターは3410円でした。小平は財布から1000円札を4枚引き抜くと、私に投げてよこした。で、車から降りる際、後部座席のドアを蹴っ飛ばしてホテルに消えた。蹴られたところを見るとボコッとへこんだ跡が残っている。ところが一緒に乗っていた茶髪の男は、蹴られた跡を見て『大丈夫、大丈夫』とつぶやいた。しかも、『ブッ殺すぞ!』とスゴんだ。一瞬、私も60半ばになって殺されるのかって怖かったですよ」

 しかし、当然ながら怒りは収まりようもない。長内さんは3人のあとを追い、戸締まりされたホテルの玄関を叩き、インターホン越しに従業員に事の顛末を告げるとともに、近くの千葉中央警察署に通報。すぐにパトカー2台、覆面パトカー2台が駆けつけ、ホテル前にはたちまち総勢10人余りの警察官が集まった。

 従業員を通じて小平を呼んだが、ラチが明かない。そこで、警察官が小平の部屋に出向いたところ、

「最初、小平は『田中です』と偽名を使ってなかなか出てこなかった。警察官が強く言ったため、しぶしぶ降りてきたんです」(長内さん)

 だが、それでも小平は警察官に向かって、

「俺は何もやってねえよ。証拠あんのかよ」

 と開き直ったのだ。