[其ノ四 注目商品 住宅ローン対決編 預金連動型住宅ローン VS. 一般的住宅ローン]即金で買えても預金連動型
自己資金で購入できるのに、あえて融資を受ける人もいるという住宅ローン。その理由は? 今回はまだまだ知られていない預金連動型住宅ローンに迫る。

知る人ぞ知る!?預金するほど有利な住宅ローン

「預金連動型住宅ローン」をご存じでしょうか。利用者の中には、ローンを組まなくても自己資金だけで住宅購入が可能という人もいるとか。東京スター銀行の商品が有名ですが、類似の商品はほかの銀行でも販売されています。

基本的な仕組みは、預金残高に応じて住宅ローンの利息が軽減されるというもの。預金残高と同額分のローン残高には金利がかかりません。

一般的住宅ローンの場合はその銀行に預金があっても、ローン残高全額に金利がかかります。そのため、利息を軽減するには預金で繰り上げ返済をし、ローン残高を少なくする方法しかありません。

一方、預金連動型住宅ローンは、預金を増やすことで繰り上げ返済と同じ効果を上げることができます。増やした預金と同額分のローン残高の金利が0%になるからです。

また、一般に住宅ローンを借りるときには団体信用生命保険(団信)への加入が必要です。団信とは、住宅ローンの契約者が死亡したときに保険金でローン残高が完済されるもの。一般的ローンの場合、繰り上げ返済をしてローン残高を減らしていくと、手元の預金も減っていきます。

「そんな中で万が一ローン契約者が死亡すると、家は残るがお金は残らないということになります。預金連動型の場合は、繰り上げ返済の代わりに預金を積み上げるので家も残り、お金も残るのです。残された家族にとっては大きな違いでしょう」と言うのは、FPの中村宏さんです。

さらに、住宅ローン減税についても預金連動型のほうが有利です。住宅ローン減税は、年末のローン残高(上限あり)の1%相当額の税金が住宅取得後10年間にわたって控除される仕組みです。

「一般的ローンで繰り上げ返済をするとローン残高が減るので、減税額も少なくなります。預金連動型なら繰り上げ返済の代わりに預金をするので、ローン残高が減るペースが遅く、減税のメリットをしっかり享受できるのです」

ただし、一般的住宅ローンと比較すると(以下、東京スター銀行の場合)、金利タイプが少なく、しかも金利が高めです(2013年11月現在の金利は、変動2・40%、固定3年3・00%、固定5年3・10%、固定10年3・30%)。メンテナンスパック料がかかる点もデメリット。各種メンテナンスと万が一の保障を組み合わせたもので、標準的なパックで年率0・504%相当分がかかります。

資金に余裕のある人は購入資金に充てるか預金に回すか、検討を

どのくらい資金があればトクかを試算した右ページの例の場合、頭金900万円のほかに1200万円程度あれば総返済額で有利という結果でした。毎月の生活にゆとりがあれば、預金を積み増すことで返済負担はますます小さくなっていきます。

「預金連動型が向いているのは、共働きで預金が多い若い夫婦、ローンを組んだ後も預金を積み上げられる人、40代から50代で人並み以上の貯蓄があり住宅取得を考えている人、ゆくゆく相続などで大きな資産が入る予定がある人などです」

資金に余裕があり、これからマイホームをという人には検討の価値が大きいのではないでしょうか。というわけで、今回の対決は預金連動型住宅ローンに軍配!

【今月の対決立会人】
中村 宏(HIROSHI NAKAMURA)
ファイナンシャル・プランナー

ベネッセコーポレーション入社。2003年、FPオフィスワーク・ワークスを設立し、個人相談、セミナー講師、執筆などで活躍中。



この記事は「WEBネットマネー2014年1月号」に掲載されたものです。