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筆者は10年ほど前、中国南方の広州に勤務していました。広州は、中国において北京、上海に次いで第三の都市とも言われ、海外との接点も多いところです。しかし、その当時は生活の面でまだまだ欧米文化に対するなじみが薄く、100kmほど離れた香港からチラホラと流入してくる程度でした。クリスマスもしかり。

そして迎えた冬、通りがかったレストランの窓に、「Mary MAX'」というシールが堂々と貼られているのを目撃しました。中途半端に似ている……。クリスマスになると、その時の脱力感を思い出します。

○クリスマスの起源って?

ところで、英語の「クリスマス(Chirstmas)」」の語源はご存知ですか? 「イエス・キリスト(Christ)」の「ミサ(mass、礼拝)」という意味があります。イエスの誕生を祝う日であり、12月25日に行われることはみなさんご存知のとおりです(実際にはイエスが何日に生まれたかということは定かではありません)。

イエスは、洞窟に作られた馬小屋で生まれたとされています。誕生直後、彼の頭上で星が輝きました。東方の3人の博士がその星によって導かれイエスに会いに行った、というお話は「東方の三博士」としてよく知られています。その地はエルサレムから南へ約10kmほどのベツレヘムにあり、のちにキリスト教の聖地となりました。

その言い伝えにちなんだ、「ベツレヘムの星」と呼ばれる装飾があります。この季節になるとみなさんがよく目にするものなのですが、何だと思いますか? 実はクリスマスツリーの先端に飾られる星のことなのです。  

○パレスチナから世界遺産誕生!

4世紀にイエス生誕の地の上に建てられた聖堂は「聖誕教会」と言われ、2012年に世界遺産に登録されました。そのことはニュースで大きく報じられ、昨年の世界遺産委員会における最大のトピックスとなりました。なぜなら、申請国が「パレスチナ」であったからなんですね。

パレスチナは2011年10月にユネスコに正式加盟したので、国際社会から国家として認められたことになります。世界遺産登録はその翌年に当たり、教会の領有権やベツレヘムの帰属などデリケートな問題をはらむことから、アメリカとイスラエルが大きく反発しました。

この両国は、パレスチナのユネスコ加盟以降分担金の拠出を凍結しており、ついに先月ユネスコの投票権を失ってしまいました。世界遺産の本来の目的は、戦争や紛争のない平和な社会を築いていくことなのですが、そのお話はまた別の機会に譲ることとします。

毎年クリスマスの時期には、イエス生誕の地を一目見ようと世界各国から敬虔(けいけん)なキリスト教徒や観光客らが集まります。12月24日深夜25日未明にかけてミサが行われ、紛争が絶えないこの地域に平和が訪れるよう、人々が祈りを捧げるのです。

さて、今日はクリスマスイヴ。私たちも、世界中の人々の平和を願って、ハッピーなクリスマスを過ごしましょう! Mary MAX'!……じゃなかった、Merry Christmas!

世界遺産データ : ベツレヘムの聖誕教会と巡礼路(文化遺産)
パレスチナ自治政府、2012年登録。キリストが生まれた場所に4世紀に建てられた聖誕教会は、世界最古の教会のひとつ。ローマ・カトリック教会、ギリシャ正教会、アルメニア使徒教会の3つの教会の共同管理下にあります。損傷がひどいことから、世界遺産登録と同時に危機遺産に登録されました。

○筆者プロフィール : 本田 陽子(ほんだ ようこ)

「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。
○世界遺産検定とは?

世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。
主催:世界遺産アカデミー
開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)
開催地:全国主要都市
受検料(税込み):3級3,800円、2級4,900円、2・3級併願8,000円、1級9,000円、マイスター1万8,000円
解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)
申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込み
その他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて

(本田陽子)