このフリペがすごい2013「大賞」は北海道発の「HARU」

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街やカフェ、駅構内や書店などで手に入る無料の印刷メディア・フリーペーパー(以下フリペ)。どこまでをフリペと定義するかは難しいが、一般社団法人日本フリーペーパー振興協会の広報担当・山下さんによると、今や約3000〜4000誌が発行されているという。

同協会が主催する「日本フリーペーパー大賞2013」は今年3年目。「フリペ・タウン誌の編集部は地域を深く愛し貢献したい!という思いの方が多い。そういう思いに支え作られているフリペに注目してほしい」と立ち上げられたアワードだ。※地域を深掘りしているタウン誌は有料でもエントリー対象となる。

今年のエントリー数は全国から121誌。大賞や特別賞、地域密着部門賞、観光誘致部門賞、読者投票部門賞などの各5部門で計5誌ずつがノミネートされた。その中から栄えある賞に輝いたフリペ・タウン誌をご紹介!
「大賞」は北海道発「Haru(有料)」。 北海道オホーツク地域の潜在的価値をちょっと深堀りし、地元の真の価値を探る。ある時は海と湖を舞台とした網走の漁業の取り組みや未来について特集。オホーツクの壮大な自然や農林漁業を営む人の表情が私たちに大切なことを教えてくれる。
受賞理由はテーマがしっかりしていて、全ページにわたり読み手の笑顔を思い浮かべて作っているような誌面であること。また、写真も素晴らしく今回の審査基準であったクオリティ、地域密着、観光誘致の全てにおいて評価されたからだ。
「フリペやタウン誌が担う役割は、地域活性化です。その地域に古くからあるものの良さと、新しくできたものを知ってもらうことで、『見たい』『知りたい』という人々の欲求を喚起し、人の対流を生み出すところにあるのではないでしょうか」(山下さん)
次に合計3誌が選ばれた「特別賞」の中からは京都発「フリースタイルな僧侶たちのフリーマガジンを紹介したい。私も約2年前コネタ内で同フリペのことを記事に書いていた!

カフェやバーを出店して場づくりを行うお坊さんもいれば、自死対策や児童虐待防止などの社会活動に取り組んだり、座禅や瞑想などの実践にひたすら打ち込むお坊さんもいる。このフリペを読めば「仏教といえばお葬式」という考えが吹っ飛ぶだろう。オシャレで簡単な精進料理レシピや、お坊さんが描く漫画、時に宗派の垣根を越えてナナメから語られる仏教など多様なコンテンツが面白い。

同フリペ代表の池口龍法さんは「お釈迦さまが説法されて以来、仏教徒はとにかく教えを伝えて人々の心の苦しみを癒すことに力を入れてきたわけで、私たちの媒体が努力してきたこともその延長線にあるのではないかと思います。お釈迦様も現代に生まれていたらフリペ作っていたかもしれませんね(笑)」と話す。

さて、「読者投票部門」の第1位は、総投票数32,061票(1人1日1票の投票スタイル)のうち、2,312票を獲得したJR九州東京支社が発行する月刊情報 「鉄聞(てつぶん)」。
鉄道ファンの間で話題の「JR九州の楽しい列車を、全国に広めたい! 」という熱い想いをカタチにした新聞だという。サイズはA4で写真が切り貼りされていて、ALL手書き! 観光列車と沿線のおもしろスポットなどを紹介しているが、作り手の心が伝わってきそうな温かいフリペ。こちらからチェックできる。

フリーペーパーの制作に携わる人のほとんどは、『地元のいい情報を発信したい』『読者の役にたちたい』という熱い思いを抱いてライフワークのように取り組んでいる方が多いです。無料だからこそ読者を惹きつけ継続的に読んでもらえる媒体になるために、皆さん必死に努力しています。どんな媒体にも新発見があるはずなので、色々なフリペに気軽に触れてください」(山下さん)

これでもか! と地域に密着したものやコネタ満載のフリペなど、作り手の思いやこだわりがたっぷり込められている。皆さんもお気に入りのフリペを見つけてください。
(山下敦子)