【インタビュー】Toby Feltwell (トビー・フェルトウェル)、C.Eのディレクターであり NIGO® の相談役。ヒットブランドの仕掛人が語る、ブランド論とは(第2回/全3回)

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取材・文: 編集部  写真: 土屋文護  英語翻訳: Oilman  場所: J-COOK

 

2011年の立ち上げから2年、トーキョーを代表するストリートウエアブランドへと成長を遂げた C.E (シーイー)。グラフィックデザイナーのSk8ightTing (スケートシング) がデザイナーを務める同ブランドにおいてディレクターを担当するのが Toby Feltwell (トビー・フェルトウェル) だ。音楽からはじまり法律を経由、その後ファションやビジネスにまで多岐にわたったワーキングヒストリーをもつ同氏は、C.E のディレクションを行いながら、現在も多数のブランドや人と関わり時代の傍観者とも言うべき俯瞰的目線から独自のコンサルティングをやってのける。謎に包まれてきたこれまでのキャリアから日本のファッション事情、今後の展望について話を聞くべく、お気に入りの場所としてあげてくれた神宮前に位置するカフェ、J-COOK にてインタビューを敢行した。

 

(第1回/全3回)【インタビュー】Toby Feltwell (トビー・フェルトウェル)、ストリートウエアブランド C.Eのディレクターであり NIGO® の相談役。謎に包まれてきた彼のこれまでのキャリアにせまる

(第3回/全3回)【インタビュー】Toby Feltwell (トビー・フェルトウェル)、ストリートウエアブランド C.Eのディレクターであり NIGO®の相談役。グローバルな視点から見た東京ファッション過去・現在

 

 

- 法律からデザイン、コンサルティングまで。仕事の幅が広いですね。

そうですか?それはこれまでやってきたようなスケールだからできただけだと思います。大きなビジネスになると無理ですね。ピーク時の A BATHING APE® の売り上げはかなりありましたけど、人もそんなにいたわけではないですし。こういうビジネスであればできるかもしれないですけど、ほんとに大きな企業だと自由にやるというのは難しいかと思います。僕は1つのことだけをやっていると飽きてしまう人間なので、堅い仕事もやりつつというバランスが好きです。だからブランドを立ち上げるというのは自分には一番合っているのかもしれない。これまでは誰かの相談役のような立場が一番楽しいと思っていたので、自分で独立して全部に関わるようなことは考えもしなかったです。

C.E SS 2013 from c.e on Vimeo.

 

- C.E における Toby さんの役割を教えてください。

名刺に肩書きは書いていませんが、ディレクターですね。ただ、シンちゃんと菱山くんとデザインをすることもあれば、経営を担当することもあります。戦略を考えるのは好きですし、ブランディングもやります。長い間ブランドについて勉強しているので。シンちゃんもブランドに関してはプロフェッショナルです。戦略を考えるのは僕の役目だと思っています。

 


© THE FASHION POST

- 言える範囲で大丈夫なのですが、C.E のブランディングはどのようなものですか?

NOWHERE と BILLIONAIRE BOYS CLUB に所属していたとき、大きなブランドとも関わってきて、その経験でブランドについて考える機会がたくさんありました。その上で思うのが、「自分たちが何を作りたいか?」というのは基本的なスタートで、お客さんからブランドがどう見られるというのは自分たちではコントロールができないということ。なので、運営側のイメージと買い手側のイメージを含めた1つの出来事が「ブランド」だと僕は思っています。流行るかどうかというのは誰にも予測できないですし、いくら長い経験を積んでノウハウが完璧に分かっていたとしても、流行らないことはよくあることです。だからそれを分かった上でできるのは、自分たちがいいと思うモノ、強いと思うモノを作って、それをできるだけ多くの人が見られるような環境を整えるということです。それでどういうリアクションをされるかというのをただ見守るしかない。プランニングをして段階を踏んでから、ということは僕は信じていないです。やっぱり基本は自分たちのやりたいモノですから。やりたいモノがずっと芯にあって、それを続けることができれば可能性は生まれると思っています。

 

- C.E がやりたいコトを具体的に言うと?

それを口で説明できればブランドをやる意味はないんじゃないでしょうか?かなり抽象的でなにか掴めないムードを探しているようなものなので。ただ、具体的に簡単に言えるようなモノではないから良いのだと思います。さっきも言ったとおり、ブランドは受け取る側から見たものも含めた現象なので。でもクリエイターによっては、うちのブランドは君たちが考えているようなモノではないので、分かってない人は買わなくていい、というスタンスをとる人もいますよね。でも頭を柔らかくすれば、買ってくれる人たちが思う部分やアイデアすらも柔軟に受け入れて、常にウェルカムなスタンスですべてがブランドの一部だと考えることができると思うんです。C.E が自分たちのつくっている洋服だけで成り立っていると考えるのは、ブランドにとってあまりおもしろい考えではないですね。

うちのブランドはこういうモノですといくら言い続けても、ブランドのバックボーンを知らない人たちが急に好きになって爆発的に売れるとまったく違うルートに入りますよね。例えば、もともと STONE ISLAND (ストーン アイランド) はイタリアのハイテクカジュアルウエアでしたが、イギリスのサッカーフーリガンの制服として今では有名です。そういうことが面白いと作り手側の人たちが思えなければブランドが伸びないということです。そういう現象があちらこちらで起こったほうがブランドとしては自然だと思います。

 

2/2ページ: 賛否両論が巻き起こった「VERSUS TOKYO」での C.E のプレゼンテーションについて

 



- それこそ東京ファッションウィーク恒例となったファッションフェス「VERSUS TOKYO」での C.E のプレゼンテーションは人によって色んな捉え方があったと思います。

そうですね。ただ、あのプレゼンテーションに関しては分かりやすい説明をしたつもりです。映像で見せたのは1つのコレクションだけではないですし、これまでにやってきてものを盛り込んでいますから。私たちはこういうコトをやっています、という意味でのプレゼンテーションです。そこには既存のファッションシステムに入りたいというアプローチ的なメッセージは一切入れていません。最初、「VERSUS TOKYO」のオーガナイザーである吉井雄一さんから話をいただいたとき、何をやってもいいと言ってくれたので参加を決めたのですが、そういうオファーじゃなかったら参加していなかったかもしれない。C.E というブランドにおいて「私たちがやっているのはファッションです」という変なアピールは全然したくなかったので。それは僕らにとって魅力的じゃなかった。それにショーという形式でやったとしても、ちゃんとしたファッションとしては誰も見てくれないでしょうし。





C.E AW 2013 Presentation at Versus Tokyo TFW from c.e on Vimeo.

 

個人的には普段からファッションショーはチェックしていますけど、自分たちでやりたいとは思わないですね。あのような見せ方が嫌いな人も多いと思いますが、話題にはなったと思います。おもしろいモノが見られたというのは、ファッションショーのフォーマットだとあまりないことだと思うので。これは見る側の問題だと思うのですが、僕はファッションショーがオリンピックみたいになってきてしまっていると感じています。さっきの選手よりいまの人が良かったね、というのがブランドに置き換えられているだけ。決まったフォーマットの中で見せなければならないのであれば、必然的にそういう見られ方をされてしまうのは仕方のないことかもしれないけど。そのフォーマットで表現することを目指している人はそれでいいのですが、僕らはまったくそれを目指していないので。ランウェイでモデルを歩かせてファッションショーをしていたらきっと違う結果になっていたと思います。



 

- 今後も前回のプレゼンテーションのように何かしらの手法でコレクションを発表して行く予定はありますか?

漠然とですが考えてはいます。最近は音楽イベントがおもしろくて、イベントもプレゼンテーションもファッションショーも「ライブ」という点において変わらないので、プレゼンテーションなり音楽イベントなり何かしらでやりたいです。それに春夏と秋冬という年2回だけの発表ではなく、年に何度もやれたらいいですね。東京コレクションという畑違いとも言える場所でも自分たちの納得できるものを作れるかどうかというのは、やってみないとわからなかったですが、吉井さんが声をかけてくれてチャレンジできる機会をもらえたのはとても良かったですし、単純に色んなところで C.E のモノをつくれるのは楽しい。それも当然ブランドの一部ですからね。イベントとしておもしろくて、その場所にいればブランドの一部になれる、そんなイベントができればタイミング関係なくやってみる価値があるかと思います。コレクションやイベントとはまた違いますが、店舗のディスプレイを考えるのも楽しいですし、そういう部分でも色んなことをやっていきたいです。

 

(第1回/全3回)【インタビュー】Toby Feltwell (トビー・フェルトウェル)、ストリートウエアブランド C.Eのディレクターであり NIGO® の相談役。謎に包まれてきた彼のこれまでのキャリアにせまる

(第3回/全3回)【インタビュー】Toby Feltwell (トビー・フェルトウェル)、ストリートウエアブランド C.Eのディレクターであり NIGO®の相談役。グローバルな視点から見た東京ファッション過去・現在

 

Toby Feltwell

トビー・フェルトウェル/C.E ディレクター
英国生まれ。96年より Mo’Wax Records にて A&R を担当。その後 XL Recordings で自身のレーベルを立ち上げ、Dizzee Rascal をサイン。03年より NIGO® の相談役として A Bathing Ape® や Billionaire Boys Club/Ice Cream などに携わる。05年には英国事務弁護士の資格を取得後、東京へ移住。11年、Sk8ightTing、Yutaka.Hと共にストリートウエアブランドC.Eを立ち上げる。

HP: https://www.cavempt.com
Twitter: https://twitter.com/CAVEMPT
Tumblr: http://commonerror.tumblr.com
Blog: http://blog.honeyee.com/toby