テレビがつまらなくなった理由として、PTAや一般視聴者からの批判に敏感に反応し、作り手が自主規制していることがあげられる。さらには、BPO(放送倫理・番組向上機構)にも内容をチェックされるという状況もある。

 テレビ制作の“自由度”がなくなったのは、視聴者に対してだけではなく、スポンサーに対しても同じだ。元朝日放送報道部長でブカレスト大学客員教授の長澤彰彦氏がいう。

「昔は“思い切り好きなことをやればいい”という感覚が、現場だけでなく、上層部にもあった。当時はスポンサーからの介入もなく、“餅は餅屋”ということで、カネは出すが放送局の番組作りに口を出すことはなかった。局内で“ここまでやってスポンサーは大丈夫なの?”と冗談でいうことはあっても、実際にスポンサーが口を出してくることはなかったんです」

 テレビ局が視聴率が稼げる番組を作り続けているうちは、スポンサーも黙ってテレビ局に任せていた。しかし、視聴率が取れなくなると、そうはいかない。テレビ局がPTAや視聴者のクレームを気にするようになるのと並行して、スポンサーも“企業イメージを損なうような番組にCMは出さない”という姿勢に変わっていった。

 テレビ草創期のプロデューサーで、最高視聴率64.8%を記録した『てなもんや三度笠』など、数多くの人気番組を手がけた澤田隆治氏はこう話す。

「視聴率を始め、データ至上主義がまずい部分もある。昔はデータなど無視して、自分が面白いと思ったことをどんどんやった。ところが今は視聴率はもちろん、視聴者の好みや嗜好を調べるさまざまなデータがはびこっている。

“うちも同じようなことをやろう”という発想で、同じタレントを使って同じ内容をやれといわれる。昔は“モノマネは恥”とされていたから、当たった番組の真似は決してしなかったのに」

 かくして二番煎じ、三番煎じの番組ばかりが垂れ流され“見飽きた番組”が氾濫することになる。前例のない窮地に陥ったテレビから、また新たな挑戦が生まれてくることを、果たして期待できるのだろうか。

※週刊ポスト2013年12月20・27日号