参加7カ国中、2カ国に五輪出場権が与えられる、カーリング世界最終予選(12月10日〜15日)がドイツで開催された。日本からは北海道銀行フォルティウスが参戦し、中国に次いで2位を獲得。日本女子代表としては、5大会連続の五輪出場を決めた。

 日本に限ったことではないが、予選リーグ序盤はキーンアイス(石が曲がりやすい氷)に対応するのに苦労した。特に3戦目のラトビア戦では、4エンド連続で失点するなど、アイスの状態を確認しながら耐えるゲームが続いた。それでも、終盤に得点を重ねて逆転に成功。3連勝を飾って、チームは世界との戦いに確かな手応えをつかんでいった。

 スキップの小笠原歩が言う。

「いつもなら崩れるところで粘れたのは大きい。しっかり狙ったところに石を運べた。フロントライン(リードとセカンドの4投※)でしっかりゲームを作れたのが良かった」

※1エンドにつき、各チームが投げるストーンの数は8個。リード、セカンド、サード、スキップの順で各選手2投ずつ

 リズムをつかんだ日本は、そのまま4戦目のドイツ戦、5戦目のチェコ戦も勝利。最終戦の中国には敗れたものの、上位3チームで争うプレイオフ進出を決めた。そして、中国との1位・2位決定戦では再び惜敗するが、最後の1枠を決めるノルウェー戦に快勝。日本は見事、五輪切符を手にした。

 日本代表である北海道銀行は、2002年ソルトレークシティ、2006年トリノ五輪に出場した経験を持つ、小笠原(旧姓・小野寺)と船山(旧姓・林)弓枝を軸として結成されたチームだ。ゆえに、「豊富な経験からの我慢強さ、勝負強さがある」と、日本で対戦した各チームの選手が、ふたりの中心選手の存在を畏怖(いふ)していた。

 しかし今大会、試合を優位に運ぶことができたのは、リードの苫米地美智子、セカンドの小野寺佳歩の活躍あってこそだった。

 苫米地は、常に安定したショットを見せた。なかでも圧巻だったのは、予選リーグのドイツ戦だった。相手のストーンに当てて、少しだけずらす「ウィック」という難易度の高いショットを連続で決めた。

 一方、セカンドの小野寺は、攻撃のスイッチャーとして存在感を示した。最後のノルウェー戦では、小野寺が効果的なショットを連発。チームに勢いをつけた。極めつけは、第8エンドだった。小野寺の精緻なテイク(相手のストンをはじく)を足がかりに大量6得点を奪取。五輪切符獲得に大きく貢献した。

 苫米地と小野寺のショット成功率は、大会を通じて80%を超えた。対戦した各国のコーチがふたりを称賛し、握手を求めるシーンが数多く見られた。そんな大会屈指のフロントラインが、五輪出場を呼び込んだと言っても過言ではないだろう。

 遡(さかのぼ)ること9月、今回の世界最終予選出場チームを決める日本代表決定戦では、苫米地、小野寺ともに、ショット、スイープ(氷を掃くこと)でミスが目立っていた。不用意なミスから敗戦した際には、チームの中心である小笠原が「中学生みたいなカーリング」と吐き捨てたこともあったが、ふたりはその後3カ月で急成長。今大会では、小笠原、船山ら五輪選手を支えるまでの存在になった。

 この"フロントライン"の伸びしろは、まだまだ計り知れないものがある。ソチ五輪開幕まであと2カ月。苫米地、小野寺がさらなる成長を果たせば、ひょっとすると、日本初のメダルも見えてくるかもしれない。

竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro